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※ あるマンガに出てくる道具あり このSSのキモなんで「ちょwwwwwなんでこれが幻想入りwwwwww」ってなツッコミは無しの方向で一つたのんます 男は香霖堂への道を歩いていた。 無論、香霖堂へ行くためであり、何をしに行くのかと言えば、言うまでもなく買い物のためである。 とはいっても、生活用品を買うためではない。 こんなことを言ってはなんだが、あの店はそういった日用品を買うには、幻想郷一不向きな店である。 男も何か特別必要な物があって香霖堂に行くわけではない。 男の趣味はゆっくり虐待である。 初めのころは、毎日のようにゆっくりを虐待しては一人悦に入り、ゆっくりが死ねば新しいのを補充することを繰り返していたが、最近虐待もマンネリ化してきて、いまいち面白さに欠けてきた。 そこで新機軸を打ち出すためにも、外界の珍しい品物を扱う香霖堂に行くことにしたというわけである。 「ふう、ようやく着いた」 男は小さな店の前でホッと一息ついた。 店も風変りなら、店主もそれに比肩しておかしな人物である。 ここの店主は、自分の気に入ったものは、どんなに金を積まれても売らないことで有名だった。 だったら、客の目に付くところに置いておかずに、倉にしまっておけと言いたい。 それに、まっとうな商売人なら、こんな人通りの無い場所に店を構えるようなことはしないだろう。 誰の目から見ても、変人なことは明らかだ。 まあ、それで売り上げが上がろうが下がろうが、男にはどうでもいいことだ。 面白い品物が格安で手に入りますようにと願掛けをして、ドアを開き中に入った。 「いらっしゃい」 男は、可愛い女の子の声に迎えられた。 「ゆっ!?」 れいむは目を覚ました。 目を覚ました第一感想は、ここはどこだ? というものであった。 れいむのすぐ目の前には、木で出来た壁がそびえている。 一切のゆがみもなく、真っ直ぐなそれは、決して自然界には在り得ないものであった。それがれいむの四方を隙間なく固めていた。 訳が分からず自身の足元を見ると、これまた目の前の壁のように真っ直ぐな木が敷かれている。れいむはその上に座っていた。 これで上も木の壁で覆われていたら、れいむは完全に狭い木の壁の中に閉じ込められてしまう。 恐る恐る上空に目を向けて、ホッと一息つくれいむ。 運がいいと言っていいのか分からないが、上空には木の壁がなかった。 しかし唯一視界の利く上空を見て、れいむは一層自分がどこにいるのか理解できなかった。 そこにはいつも見ていた空や洞窟の天井はなく、やはり見たことのない物体で埋め尽くされていた。 飼いゆっくりならそれが人間の家の天井であることが分かるだろうが、生憎と森から一度も出たことのないれいむには、それが摩訶不思議な物体としか認識できなかった。 れいむは己の理解が及ばないながらも、まずここから出ることを試みることにした。 ゆっくりは広々とした空間を好む傾向がある。 この訳の分からない状況に不安を感じたこともあるが、それ以上にこんな息の詰まりそうな狭い場所に長居はしたくない。 目の前の木の壁は、れいむの身長の二倍の高さと言ったところである。ジャンプすればギリギリ跳び越えられる高さだ。 れいむは足に力を貯え、一気に解放すると、目の前の木の壁を無事に跳び越えることに成功した。 勢いあまって、着地と同時に地面を転がるれいむ。 壁に当たってようやく止まると、れいむはクラクラする頭を振って、周りを見渡した。 そこにあるのは、今までれいむが見たこともない物ばかりだった。 四方八方自然界にはあり得ない真っ直ぐ均一のとれた物体が囲んでおり、出口らしいところは見受けられなかった。 いや、出口はあったのだが、れいむにはそれが“扉”であるということが分からなかったのだ。 すぐ目の前にはれいむを閉じ込めていた四角い木の物体がある。 木箱だ。それがこの空間に3つも存在していた。 見る物触る物すべてが、れいむの常識から外れた物ばかり。 もしかしたら自分はどこか知らない世界にでも迷い込んでしまったのだろうか? れいむは記憶を辿って、思い出せる限り最近の自分の記憶を振り返った。 先日、れいむは晴れて成体の仲間入りを果たし、今まで慣れ親しんだ家から離れ独立することになった。 愛する両親に別れを告げ、新たなゆっくりスポットに適した場所を一匹探し求めた。 三日後、れいむの頑張りもあって、まだ誰の手も付いていない大きな木を見つけると、一目でそこが気に入り、根元に穴を掘り巣を作り始めた。 ようやく工程の半分ほどを終え、ゆっくり一休みしていると、一人の人間がれいむの前にやってきた。 れいむは今まで人間に出会ったことがない。 親であるぱちゅりーからは、人間は粗暴でゆっくり出来ないと耳タコが出来るほど聞かされていた。 それでいて、決して不用意な真似をしてはいけないとも言われていた。 人間はゆっくりより強い。 いきなり暴言を吐いたり、逃げたりしようものなら、不信を買ってあっという間に捕まってしまい、死より苦しい目に遇わされてしまう。 人間に出会ったら、どんな事があろうと殊勝な態度で接しなければならない。決して刃向ってはならない。 家を出る直前まで言われていたことだった。 そんなこともあって、れいむは男を刺激しないように、「ゆっくりしていってね!!」と、元気よく笑顔で声をかけた。 人間もそれに対して返事を返してくれた。 「おや、巣作りかい?」 「そうだよ!! れいむはおとなになったんだよ!! だからおうちをつくってるんだよ!!」 「ほう、それはめでたいな!! それじゃあ、一人前になったお祝いに、お兄さんが美味しい物をあげよう」 「ゆゆっ!! おいしいもの!!」 「ほら、ビスケットだ。ゆっくりお食べ」 「ありがとう、おにいさん!!」 男は、ポケットからビスケットを取り出すと、れいむの前に差し出してくれた。 親であるぱちゅりーなら、ただでゆっくりさせてくれる男の行動に疑問を抱いたであろう。 しかしながら、親ぱちゅりーの言葉に反して、自分をゆっくりさせてくれるこの男は、きっと優しい人なのだろうとれいむは考えた。 決して、目の前に置かれたビスケットの香ばしい匂いに釣られた訳ではない。 ぱちゅりーの助言もむなしく、疑いもなくビスケットに食らいつく。 「むーしゃむーしゃ!! しあわせ〜〜〜〜♪♪」 丁度、巣作りでお腹が空いていたこともあり、ボリボリと溢しながらビスケットを口に入れる。 かつて味わったことのないその味にすっかり心を奪われたれいむは、男にもっといっぱい頂戴と要求した。 図々しい物言いだが、れいむに悪気は全くない。ゆっくりとは、そういう生き物なのである。 やさしい男は、そんなれいむの態度を特に気にするでもなく、更に何枚かのビスケットを取り出すと、れいむの前に置いてくれた。 れいむは、再びビスケットに食らい付く。 しばし至福の一時を過ごすれいむ。 しかし、初めのうちはおやつタイムを存分に満喫していたれいむだが、そのうち急な眠気に襲われた。 「ゆっ? なんかれいむ……ねむくなってきたよ」 「きっと一生懸命頑張ったから疲れたんだね。でも、巣はまだ入れるほど大きくないし、外で寝るのは危険だな。よし、お兄さんがゆっくり寝られる所に運んであげるよ」 「ありがと…う……お…にい……さ………」 最後まで口にすることなく、れいむは睡魔の急襲にあい、意識を失った。 その後の記憶はない。 そして、再覚醒したのが、ついさっきというわけである。 「あのおにいさんが、れいむをここにつれてきたんだね!!」 考えに考えた末、れいむはあの男が連れてきたことにようやく気が付いた。 確かに周りは見たことのないものばかりだが、ここなら冷たい夜風に吹かれることもないし、急な雨もへっちゃらだろう。 何より天敵ともいえるれみりゃやふらん、大型の野生生物がいないため、ゆっくり安心して睡眠を取ることが出来る。 れいむがあの狭い木箱の中に入っていたのは、きっと男が安全策として念には念を押していたのだろう。 男の気配りに、れいむは心の中で感謝した。 しかし、いつまでもこんな場所には居られない。 季節は秋。 この時期、ゆっくりは食料を巣に溜め込み、冬ごもりに向けて餌を溜めこむ重要な時期だ。 言うまでもなく森の資源には限りがある。 餌取りは早い者勝ちであり、怠け者、体が弱い者、要領の悪い者は、満足な量の餌を溜めこむことができず、大自然の驚異の前に次々と地に帰っていく。 れいむは一匹での越冬ということもあって、自分の分の餌を溜めこむだけで済むため、家族持ちのゆっくりほど切羽詰まってはいないが、代わりに住む家が出来ていないというハンデを抱えている。 いつまでもここに長居をすれば、れいむも帰らぬゆっくりの仲間入りを果たすのは目に見えている。 そんなことは死んでもごめんである。 「おにいさ〜〜ん!! れいむ、おきたよ〜〜!! ゆっくりしないでかえるから、ここからだしてね〜〜〜!!!」 れいむは、この出口のない奇妙な空間から抜け出すべく、大声でお菓子をくれた男を呼んだ。 男がどこにいるのかは分からないが、れいむは男がすぐに来てくれるだろうと楽観していた。 元々疑うということを知らないれいむである。美味しいお菓子をくれた人間を完全に信用していたのだ。 しかし、すぐに来てくれるだろうという安直な考えとは裏腹に、男からの反応は全くなかった。 呑気なれいむは、「そっか!! きこえなかったんだね!!」と、ポジティブシンキングを発揮し、特に気にせず再度大声を張り上げた。 腹(?)の底から捻り出すような声量。 これで男が来てくれるだろうと、れいむは自信満々でいたが、れいむの声に対し、思いがけないところから反応が返ってきた。 「ゆ〜〜……まだねむいよ……ゆっくりおおごえをださないでね」 その声はれいむをここに連れてきた人間とは明らかに違っていた。 しかも明らかに自分のすぐそばから発せられたのである。 れいむは周りを見渡した。しかし、声の主らしき者は、れいむの見える範囲には存在しなかった。 「だれなの? かくれんぼなの? ゆっくりこたえてね!!」 声の主に呼び掛けるれいむ。 すると、れいむの呼び掛けに再び返事が返ってきた。 「ゆっ? そっちこそだれなの? ゆっくりせつめいしてね!!」 声の返ってきた方を向くと、そこには木箱が置いてあった。 れいむの入っていた木箱の隣にあった物だ。 れいむはその木箱に近づいていくと、その中にいるであろう者に向かって声をかける。 「れいむはれいむだよ!! このなかにいるんでしょ? だれなの? ゆっくりおしえてね!!」 訳の分からない自己紹介をするれいむ。 例えるなら、「私の名前はれいむです」と言ったところなのだろう。 人間が聞いたら、なんのこっちゃと思うような紹介だが、箱の中の者にはそれで充分だったらしい。 「まりさはまりさだよ!!」 れいむと同じ自己紹介を返すまりさ。 どうやらこれがゆっくりの自己紹介のスタンダードなようだ。 「れいむ!! どうしてまりさのまわりにきのかべがあるの? れいむがやったの?」 木箱の中にいるまりさは、先程のれいむ同様、状況に戸惑っているようだ。 まあ誰だって突然周りを塞がれてしまえば、困惑するのも無理はない。 「まりさ!! うえがあいているよ!! ゆっくりじゃんぷして、きのかべをとびこえてね!!」 「ゆっ? ほんとうだ!! うえにはかべがないよ!! ゆっくりじゃんぷするよ!!」 まりさは、「ゆっゆっゆー!!」の掛け声とともにジャンプすると、木箱の中から跳び出してきた。 ギリギリの高さで飛び越えることが出来たれいむとは対称に、まりさは余裕を持って木箱を跳び越える。 さすがは身体能力に富んだまりさ種である。 無事にれいむの隣に落ちると、れいむのように転がることなくその場に「しゅた!!」と、華麗に着地する。 実に優雅な物腰だ。 箱から出てくるや、まりさはれいむの方に向き直った。 そしてその顔を一目見たれいむは、一瞬で放心にとらわれる。 な、なんて素敵なまりさなのだろう!! それはれいむが今まで生きてきた中で、見たこともないような美ゆっくりであった。 端正な顔立ち、瑞々しくもっちり張りのある皮、艶のある髪、仄かに香る甘い匂い、一切の無駄な皺のないゆっくりとした帽子…… どれをとっても野生のゆっくりではお目にかかれないほどの物であった。 それは人間に飼われているゆっくりでもあり得ないだろうというレベルのものである。 「ゆっ? れいむ、どうしたの? まりさのおかおになにかついてるの?」 そんなれいむの態度が気になったのか、まりさが首を捻って質問してくる。 れいむはそのまりさの言葉でようやく我にかえった。 そして、まりさに見とれていた自分を顧みて、「な、なんでもないよ!!」と精一杯自分の態度を誤魔化した。 独り立ちしたとはいえ、れいむはようやく成体になったばかり。 ゆっくりでいう成体とは、スッキリして子供が作れるようになった個体を指す言葉であり、人間の年齢で例えるなら、12〜14歳という微妙なお年頃である。 要は思春期であり、体は大人でも精神はまだまだ幼稚さの抜け切らない子供なのである。 余談ながら、ゆっくりが成体かそうでないかを見分けるには、ゆーりが来たかそうでないかで判断される。 ゆーりとは、成長したゆっくりなら誰でも体験するものである。 ある日突然、体全体から甘く粘着質な液体が分泌されることで、次代を作る態勢が整えられる。 知識を持たない当事者は、突然自分の体から変な物が出ることに慌てふためくが、同じく経験してきた親や周りの大人たちが、それが危険でないことを説明してくれる。 それは大人になった証であり、子供を作れるようになった証であると。 そしてその日は大抵ご馳走になることが慣例となっている。 ちなみにれいむの居た群れは、成体になってから三か月以内、要は次の季節に移るまでに、生まれ育った巣から出ていくことが習わしである。 理由は、自立心を養わせることと、手狭になった巣を広くするためである。 これは冬場や、余程の切迫した問題がない限り、誰しもが行っている。 とは言え、所詮はまだまだ未熟なゆっくりたちだ。 狩りが不得手であったり、まだまだ子供気分が抜けない者が多く、巣から出るといっても、すぐそばに新たな巣を構える者が大半である。 れいむのように、遠く親元を離れて生活するというゆっくりのほうが稀なのである。 閑話休題 れいむは純朴である。口悪く言えば田舎娘とも言いかえられる。 森で一緒に駆け回っていた友人達は、皆伸び伸びと元気なゆっくりであったが、反面泥臭くスマートさに欠けるゆっくり達でもあった。 最近ようやく色を知り始めたれいむが、優雅で大人びた、見ただけで気品に満ち溢れたまりさを見て、一目惚れしてしまうのも無理のない話であった。 自分を見てモジモジしているれいむを見ても、まりさにはそんなれいむの機微など分からないらしく、自分が何か不味いことでもしてしまったのではないかと、心配そうな顔をしていた。 傍に寄って行って、れいむの顔を覗き込む。 「れいむ!! ぽんぽんでもいたいの? だいじょうぶ?」 そんな美まりさに近寄られて一層心拍数(?)の上がるれいむ。 近寄られて嬉しい反面、こういうことに慣れていないれいむは、自分からまりさとの距離を取った。 「ゆゆゆっ!! だだだだいじょうぶだよ!! どどどこもいたくないよ!!」 「ほんとうなの?」 「ほ、ほんとうだよ!!! ゆっくりしんじてね!!」 「わかったよ!! ゆっくりしんじるよ!! でもなにかあったら、すぐにまりさにいってね!! まりさがたすけてあげるからね!!」 「ゆぅぅ……あ、ありがとう!! まりさ!!」 初めて会ったばかりのれいむに優しく声をかけるまりさ。 余程れいむの態度が気になっていたのか、何でもないと分かるや、ホッと息をもらす。 容姿もさることながら、優しく思い遣りまであるとあって、れいむのまりさに対する親愛度は急上昇していった。 出来ることなら、いつまでもこの時間が続いてほしい。いや、一生このまりさと一緒にゆっくりしていきたい。 乙女心全開のれいむは、まりさとの幸せな家庭を妄想する。 朝起きると隣ではまりさと子供たちが寝ており、れいむがゆっくりと起こしてあげる。 起きたら全員一緒に「ゆっくりしていってね!!」という掛け声とともに、楽しい一日が始まるのだ。 朝ごはんを食べたら、みんなで小川にピクニック。 まりさと寄り添って、子供たちの遊ぶ様子を見守り、お昼はその場でお花や虫さんを食すのだ。 お腹がいっぱいになった昼下がりには、明るい日差しの下でお昼寝タイム。 気の済むまで寝入り、太陽が山に差し掛かる頃起きて、お歌を歌いながら帰るのだ。 帰ったらまりさは狩りに行き、その間れいむは子供たちの面倒を見て、まりさが帰ってきたら全員そろっていただきます。 危険な夜はお家の中で家族団欒の時間を過ごし、子供たちが寝入ったら、今度はまりさと二匹だけの時間。長い夜の始まりだ。 そして疲れた二人は寄り添い合って、静かに目を閉じていく。 いつまでもいつまでも、ゆっくりとした時間が永遠に続いていくのだ。 涎を垂らしながら、妄想を繰り広げるれいむ。 目の前ではまりさが、やっぱり体の調子が悪いんじゃと言った顔をしてても何のその、妄想はどこまでも続いていく。 まりさの好物は何かな? 子供は何匹がいいだろう? お家は大きい方がいいよね!! 場所は小川の近くが…… とここにきて、れいむはハッと現実に戻っていった。 お家。そう、お家だ。 れいむは未だ自分の住むべきお家を作り終えていないのだ。 お家を早く作るためにも、れいむはお兄さんを呼んでいた最中だったのだ。 まりさの美貌に見とれて、肝心なことをすっかり忘れていた。 一旦現実に戻るや、何を馬鹿な妄想を繰り広げていたのだろうと、れいむは自己嫌悪に陥った。 そもそも現実的に考えて、こんな美ゆっくりであるまりさが、自分如きを好きになってくれるはずないではないか。 事実、れいむの体や髪の毛、自慢であるリボンは、巣作りの途中だったせいもあり、汚れに汚れている。 まりさと比べて、あまりにもみすぼらしい格好だ。 しかも自分はようやく成体になったばかり。反してまりさはすでに立派な成体。自分などまだ乳臭い子供でしかないだろう。 欲望や願望に忠実なゆっくりは、明るい未来だけを想像し、暗く辛く苦しいことをすぐに忘れ去る傾向にあるが、親ぱちゅりーから熱心な教育を施されたれいむは、ゆっくりの中では、比較的珍しい現実主義者であった。 妄想は妄想。現実にあり得るはずはない。 「はー……」と盛大に溜息をついて、俯くれいむ。 しかし、落ち込んでいても始まらない。切り替えの早さもれいむの持ち味だ。 夢を見る時間はここまでにして、ここから出るべくまりさと情報交換を始めることにした。 「まりさ!! まりさはどうしてここにいるの? まりさもおにいさんにつれてこられたの?」 「ゆっ!! きゅうにれいむがふつうにもどったよ……」 まりさはと言えば、自分を見て赤くなったり、間抜けな顔で涎を垂らしたり、急に欝になったりするれいむを不思議そうな様子で見守っていた。 いや、この言葉からして若干引いていたらしい。 しかしそこは大人だからか、それ以上れいむの傷を広げようとはせず、質問に答えてくれた。 「そうだよ!! まりさはおにいさんにつれてこられたんだよ!!」 「まりさも?」 「ゆー!! おにいさんはやさしいひとだよ!! まりさにおかしをくれたよ!! いっぱいおかしをたべたら、まりさ、ねむくなってきちゃったんだよ!!」 「ゆゆっ!! れいむとおんなじだよ!! れいむもおいしいものをたべたら、ゆっくりねちゃったんだよ!! そして、おにいさんがつれてきてくれたんだよ!!」 「ゆっ!? れいむもなの!! ゆっくりおそろいだね!!」 「ゆ、ゆっくりそうだね……」 お菓子をもらい、共に食べている最中眠り連れてこられたということもあって、まりさはれいむにシンパシーを感じたようだ。 嬉しそうに、「あのおかし、おいしかったね!!」と、顔をほころばせる。 れいむもれいむで、美ゆっくりのまりさとの共通点を発見し、再度なんとも言えない気分になった。 恋をしている者にとっては、こんな些細な共通点にすら接点を見出すものである。 なぜお菓子を食べて突然睡魔に襲われたのかという重要な疑問は、今の二匹にはどうでもいい事らしい。 「それじゃあ、いっしょにかえろうね!! よるになると、れみりゃがでるかもしれないからきけんだよ!! まりさがゆっくりおうちまでおくってあげるよ!!」 「ゆゆっ!! いいの!?」 「もちろんだよ!! それにいっしょにかえったほうが、ゆっくりたのしいよ!!」 「ありがとう、まりさ!!」 優しい言葉をかけられ、今日何度目になるか分らない温かい気分になるれいむ。 気を抜けばこのまま妄想の世界に再度行ってしまいそうなところを、僅かばかりの理性を持って制御する。 まりさは親切心で言ってくれているだけなのだ。決して自分に気があったり、下心があって言ってる訳ではない。 その言葉通り、成体になったばかりのれいむ一匹では危ないし、二匹でお喋りしながら帰った方が楽しいというだけだ。 頬を染めながらも、れいむは冷静にまりさと話を続ける。 「それじゃあ、さっそくかえろうね!!」 「ゆっ? まりさはどうやってここからかえるかわかるの?」 「わからないけど、おにいさんがつれてきてくれたんだから、おにいさんをよべばいいんだよ!!」 「れいむもさっきおにいさんをよんだけど、きてくれなかったよ!! かわりにまりさがおきたよ!!」 「きっとれいむのこえがちいさかったから、おにいさんがきがつかなかったんだよ!!」 「そうだね!! きっとこえがちいさかったんだね!!」 「そうだよ!! いっしょにおおきなこえでおにいさんをよぼうね!!」 「ゆっ!! ゆっくりりかいしたよ!!」 まりさの「ゆっせいの…」の後に続けて、二匹は大声を張り上げた。 「「おに〜〜さ〜〜〜〜〜ん!!!!」」 二匹は今にもお隣さんが苦情に来そうなほどの声量を発する。 しかし、待ってみたものの、お兄さんはやって来なかった。 再度挑戦する。それでも結果は変わらない。 「ゆぅ……おにいさん、こないね」 「そうだね」 二匹とも喉(?)が破れるのではというくらい声を張り上げているので、声が小さいということはあり得ない。 もしかしたらお兄さんは近くに居ないのかもしれないという結論にようやくたどり着いた二匹は、未練が残りながらも男を呼ぶのを諦めた。 と言っても、ここから出ることを諦めたわけではない。 まりさは兎も角、れいむにはあまりのんびりしている時間はないのだ。 まりさと一緒に居られるこの時間は貴重であるが、いつ来てくれるか分からないお兄さんを愚直に待っていることは、そのまま死につながる危険性がある。 「まりさ!! ここからでるほうほうをかんがえようね!!」 「わかったよ、れいむ!!」 二匹は部屋の中を探索し始める。 出られる隙間はないか? 食べるものは落ちていないか? 使える道具はないか? 注意深く隅々まで視線を落としていく。 “扉”を知らない二匹は、目の前にあるそれを、周りと色の違う壁という認識しか示さない。 もっとも、人間の使う扉が非力なゆっくりに開けられるはずもなく、その存在を知りつつ如何しようも出来ないという敗北感を味わうよりは、ある意味幸運と言えるのかもしれないが。 二匹は注意深く探し回ったが、所詮は狭い部屋。どこにも出口がないことを確認したにすぎなかった。 唯一この部屋にある物は、れいむたちが寝ていた木箱だけ。中に何もないことは、すでに本人たちが確認済みだ。 しかし、ここでお忘れになっていないだろうか? この部屋にある木箱は計三つ。れいむとまりさは二匹。 となると、残り一つに何かが入っている可能性がある。 「まりさ、このきのなかには、なにがはいっているのかな?」 「きっとここからでるためのなにかだよ!!」 「そうだね!! ようやくここからでられるね!!」 「まりさがなかにはいってゆっくりたしかめてくるよ!!」 「がんばってね、まりさ!!」 「ゆっ!!」 既にれいむは、箱の中に役立つ道具が入っていると信じ切っている。 餡子脳とは、実に幸せである。 まりさは盛大にジャンプし、最後の箱に飛び込んでいった。 すると、まりさの着地と同時に、「ゆぎゃあぁぁぁぁ―――――!!!」という声が聞こえてきた。 それはまりさの悲鳴ではなかった。 「ど、どうしたの!? なにがあったの!?」 突然出てきた第三者の悲鳴に、驚き確認を取るれいむ。 その問いに対して、まりさと第三者の問答が答えをくれた。 「い、いきなり、ねていたありすをふみつけるなんて、とかいはのすることじゃないわ!!」 「ゆ、ゆっくりごめんね!! ありすがいるなんて、しらなかったんだよ!!」 「ごめんですんだら、どすはいらないわ!!」 「ゆぅ……」 二匹の言葉を聞く限りでは、木箱の中にはありすがいたらしい。 寝ていたありすを、まりさが思いっきり踏みつけた格好だ。ありすでなくても、怒るのは無理もない。 その後、まりさが何度も謝罪し、どうにかありすの許しを貰うと、二匹は連れだって箱の中から飛び出してきた。 まりさ同様、ありすも上手に着地する。れいむよりも、幾分か運動神経に富んでいるらしい。 れいむは二匹の会話で、木箱の中に誰がいるかは分かっていたが、出てきたありすを見て少しばかり身構えた。 都会派を自称し、一旦タガが外れると問答無用で襲いかかってくるレイプ魔。それが、れいむのありす種に持っているイメージだったからだ。 イメージというのは、実際に見たわけではなく、伝聞によるものだったからである。 れいむの生まれ育った群れには、ありす種は生息していなかった。 しかしながら、知識の塊である親ぱちゅりーは、いつありす種に会っても対処できるようにと、ありす種について様々なことを教えてくれた。 ありす種はぱちゅりー種と並んで頭の良い個体が多く、ぱちゅりー種と違い体も丈夫なため、あらゆる場面で活躍できる多才派だ。 都会派と気取ることが多いが、それ自体は他のゆっくりに迷惑をかけることではないので、気にしなければどうということはないらしい。 しかし、それだけならマルチに活躍できる最高のゆっくりなのだが、ありす種特有の欠点も耳ダコが出来るほど聞かされた。 それが、色情魔、レイプ魔というもう一つの顔である。 ありすは非常に性欲が強く、一度レイプ魔になると、手が付けられなくなるらしい。 普段は、全力を出すのは都会派らしくないという認識で力を抑えているそうだが、レイプ魔となるとその枷が外れ、最強のゆっくりへと変貌する。 それは、場合によっては捕食種であるれみりゃにすら対抗できるほどであるといえば、どれだけ強いか分かるというものだろう。 とは言え、すべてのありすがレイプ魔という訳ではない。 むしろ、レイプ魔のありすなど少数派であり、殆どは多少性欲の強いだけの普通の個体である。 しかしながら親としては、ありすの利点より危険性を重点的に教え込むことは、子供の安全面を考えれば仕方のないことである。 その結果、実物のありすを見たことがないことも併せて、れいむの頭の中では、ありすがレイプ魔であるというイメージが強くなってしまったのである。 「あら、はじめてみるれいむね!! ゆっくりしていってね!!」 「……ゆ、ゆっくりしていってね」 木箱から出てきたありすが、れいむに気付き、声をかけてくる。 ちなみにこの場合の「ゆっくりしていってね!!」は、ここでゆっくりしようねという意味ではなく、「はじめまして」の意味である。 対して多少戸惑いながらも、れいむもありすに返事を返した。 いくらありすに苦手意識を持っていても、このありすがレイパーであるとは限らない。 それに挨拶を返さない子はゆっくり出来ないと、親ぱちゅりーから厳しく躾けられていたからでもあった。 ありすはそんなれいむの葛藤など気付きもせず、部屋の中を興味深げに見まわした。 そして一通り確認を済ませると、れいむとまりさに向き直る。 「まりさ、れいむ!! ここはどこなのかしら? とかいはのありすにおしえてくれてもいいわよ!!」 「ゆっ!? ありすもここがどこかわからないの?」 まりさは驚き聞き返す。 口には出さずとも、れいむも同じ心境だった。 少々疎ましく思いながらも、このありすならきっと出口を知っているに違いない。特に意味もなく、安直にもそんな考えでいたれいむは、大いに落胆した。 それと同時に、元々低かったありす株も一気にがた落ちしてしまう。 ありすにとっては、勝手に思い込まれて、勝手に落胆されただけなので、実にいい迷惑である。 れいむほどではないが、まりさも同じ気持ちだったらしく、若干渋い表情をしていた。 しかし、出口を知らないのであれば、それはそれで仕方がない。 情報交換をすべく、まりさがありすに問いかける。 「ありすはどうやってここにきたの?」 「ゆっ? そ、そうね、ちょっとまってね!! いまおもいだすから!! とかいはをあせられるものじゃないわ!!」 なぜか知らないが、自分が失望されているということは二匹の表情から分かったようで、ありすは失点(?)を取り返すべく、必死でここに来た経緯を思い出す。 「ゆぅぅ!! たぶんだけど、にんげんのおにいさんにつれてきてもらったんじゃないかしら?」 「にんげんのおにいさん? もしかして、おかしをくれたおにいさんのこと?」 「よくわかったわね!! なかなかとかいはなにんげんだったわ!! もりでおかしをたべてたら、きゅうにねむくなってきちゃって、きがついたらここでねむっていたの!!」 「ゆゆっ!! まりさたちとおんなじだよ!! まりさたちも、おにいさんにおかしをもらって、ここにつれてきてもらったんだよ!!」 「そうだったのね!!」 「それじゃあ、ありすもまりさたちといっしょにかえろうね!!」 「しかたないわね!! ゆっくりとかいはのありすをえすこーとさせてあげるわ!!」 ありすも同じ境遇であると知り、それならみんなでここから帰ろうという結論に達したまりさ。 しかし、それが面白くないのはれいむだ。 せっかくまりさと二人きりで帰れると思っていたのに、余計なお邪魔虫が付いてしまった。 とは言え、まりさとありすはすでに一緒に帰る気でいるし、「ありすとは一緒に帰りたくないよ!!」なんて言えるはずもない。 れいむは気落ちしながら、どうやってここから出るかという作戦会議に混ざった。 その2へ
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電撃の強弱を調節できるスタンガンを手に入れたのでゆっくりに味わわてみた。 事前にゆっくり出来る道具であると説明すると何の疑いもなく背中をこちらに向けてくる。 まずは最弱だ。説明ではビリビリしびれる程度だそうな。スイッチオン。 「ゆ”っ!?」 ゆっくりの体がびくっと震える。 そして少しすると「ゆゆ~、ゆゆぅ~」と情けない声を上げだすのでゆっくりの顔を見ると、 口を半開きにして、瞳を潤ませて、頬を赤く染めて感じていた。 ゆっくりは振動を加えると性的に感じるのだが、電撃のビリビリもそれに近いようだ。 それにしてもこのゆっくりエロエロである。 このまま達するまで続けてもいいが、賢者モードに入られても困るのでここらでやめる。 そうするとゆっくりは慌てて 「ゆっくりさせてぇ~! やめないでねぇ!」 なんて甘えた声を出しやがる。 「OK、まかせろ」 ここで威力MAXにしたスタンガンを押し当ててやるのだ。 「!!!」 今度は声すら出ない。一瞬体が縦長になり、そのまま動かなくなった。 死んだか。 そう思ってしばらく見るとゆっくりは目が覚めて一言。 「すっきりー!!!」 そっすか。苦しめるつもりがすっきりされるとは残念だ。 しかしよく見るとスタンガンを押し当てた場所はしっかり焦げていた。 体の痺れが抜けるにつれてゆっくり痛がるゆっくり。 そんなゆっくりを見てようやく私はすっきり出来た。
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対戦型ゆっくりゲーム by 十京院 典明 対戦型ゆっくりゲームというのを買ってきた。最近流行っているらしい。 「おーい、れいむー」 俺は家飼いのれいむを部屋に呼びつけ、PCを起動する。 やがてぺたんぺたんと階段を上る音がして、れいむが俺の部屋のドアを開ける。 「ゆゆっおにーさんゆっくりしていってね!」 「あーはいはいゆっくりゆっくり。ゲーム買ってきたんだが、やるだろ?」 「げーむさん!れいむげーむさんするよ!」 このれいむには時々ゲームの相手をさせているので、ゲームパッドぐらいなら操ることができる。 ピコリーン \ゆっくりしていってね/ 「ゆゆ!ぱそこんさんのなかにもれいむがいるよ!ゆっくりしていってね!」 * * * * 俺はキャラセレ画面で固まった。 「……」 画面には10匹のゆっくりが馬鹿面を晒している。それはいいのだが、 左上から、れいむ、れいむ、れいむ、まりさ、まりさ、ありす、ちぇん、みょん、れみりゃ(胴なし)、れみりゃ(胴あり)。 「おにーさんどうしたの?」 「……れいむ三匹とまりさ二匹の見分けが付かないんだけど」 「ゆゆ!こんなのもわからないなんておにーさんはばかだね! れいむとれいむとれいむとまりさとまりさだよ!」 「仕方ない、マニュアルでも見るか」 俺はマニュアルを広げた。 = = = = マニュアル お買い上げいただきありがとうございます。 本ゲームは、従来の対戦型格闘ゲームとはびみょんに異なったシステムを採用した新感覚ゆっくりゲームです。 勝利条件は自キャラのゆっくりゲージを100%まで溜めることか相手のゆっくりゲージを-100%まで下げることです。 基本動作 A=隙の少ない、ゆっくりする行動をします。 B=隙の少ない、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 C=効果の大きい、ゆっくりする行動をします。 D=効果の大きい、相手をゆっくりさせない攻撃を繰り出します。 ←←=バックステップです。後ろにゆっくり跳ねます。 →→=ダッシュです。前にゆっくり急ぎます。 (コマンド)=さまざまな効果を持つゆっくりむーぶを発動します。いわゆる必殺技です。 特殊なルールを紹介します。 通常種ルール 通常種のゲージは自動で微量ずつ99%まで増加します。 通常種には当たり判定が無く、各種通常技およびゆっくりむーぶ中のみ当たり判定が発生します。 従来の格闘ゲームのように相手を攻め殺すよりは、自キャラをゆっくりさせつつ、 相手をゆっくりさせない戦い方が基本です。 うーぱっく 試合中、うーぱっくが通りかかり様々なアイテムを投下することがあります。 プリンやキノコ、干し草といったゆっくりゲージ増加アイテムから玄翁、ガラス箱といった危険なブツまで種類はさまざま。 なお、ゲームの性質上ゆっくりのリアルスペックとの乖離が見られる場合があります。 あらかじめご了承ください。 キャラ紹介 およびゆっくりむーぶコマンド表 れいむ(れいむA) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりはねるよ! ←→←B or D ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C 『ゆっくりしていってね!』は全ゆっくり中最高のゲージ溜め性能があり、とくにC版は高効率。 移動の遅いれいむ(れいむC)やれみりゃざうるすと距離が離れたなら、 『ゆっくりはねるよ!』→『ゆっくりしていってね!』でゆっくりゲージを溜め切ってしまうこともあるほど。 『ゆっくりはねるよ!』は移動技。Bは後ろ、Dは前へと移動する。れみりゃ(胴無し)から逃げるほど速くはない。 うーぱっくからのアイテム回収や、ゆっくりしていってね!の布石に。 『ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!』は、わずかながら無敵判定の存在する攻撃技。ダメージもなかなかで、ゲージ上昇有り。 攻撃重視型のみょん、れみりゃ(胴無し)などへの切り返しやカウンターを狙おう。 れいむ(れいむB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆ~♪ゆ~♪ ←/↓\→A or C ゆゆ~♪ 相手の近くで↑\←↓\→B or D 歌の上手なれいむ。『ゆっくりしていってね!』はれいむAの同技に比べてゲージ上昇が少ないものの、二種類の歌技がそれを補う。 『ゆ~♪ゆ~♪』Aは低く、Cは高く飛ぶ飛び道具で、相手に当たると動きを止める。画面端に消える際にもゲージ上昇有り。 『ゆゆ~♪』はいわゆる一回転投げ。歌で相手の動きを止め、相手をゆっくりさせる(わずかに相手のゲージも上昇)とともに 自らのゲージを大幅に上昇させる大技。当たり判定のない状態の通常種をも吸い込むため、常に近接状態で立ち回り 相手をゆっくりさせないことが重要。 れいむ(れいむC) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりうまれるよ! ↓溜め↓ おちびちゃんゆっくりしていってね! ←/↓\→B or D ゆっきゅちちていってにぇ! →←↑ B or D 植物型にんっしん中のれいむ。移動が遅く、特定のキャラには大幅不利ながらもスペックは低くない。 おちびちゃんゲージ(初期値1)の数だけ使える『ゆっくりうまれるよ!』でおちびちゃんを増やしながらゆっくりしよう。 おちびちゃん4匹以上の『ゆっくりしていってね!』には攻撃判定が付属する。 『おちびちゃんゆっくりしていってね!』は赤ゆゲージを溜める技。隙が少ないので暇を見てゲージを補充せよ。 『ゆっきゅちちていってにぇ!』は『ゆっくりしていってね!』の硬直を減少させる専用技。 攻撃判定のあるゆっくりむーぶも移動技も持たないため、攻められると脆く距離を離されても相手に一方的にゆっくりされ終了、 という危険性をも孕む(にんっしん中だけに)テクキャラ。通常技での立ち回りと間合い取りを研究しよう。 まりさ(まりさA) ゆっくりしていってね! A or C連打 むーしゃ、むーしゃ、しあわせー! →\↓/← B or D ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ! ↓溜め↑A or C れいむと同じスタンダードタイプのゆっくり。『むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!』はうーぱっくから食べ物ゲット時にのみ 使えるゲージ大幅上昇技。移動速度が速く食べ物をゲットしやすいため、狙いどころは多い。 まりさ(まりさB) ゆっくりしていってね! A or C連打 ゆっくりしていってね! ↓\→A or C ゆっくりはねるよ! ←→←B or D まりさAよりもさらに移動速度が速いスピード特化型ゆっくり。 二種類の『ゆっくりしていってね!』を持ち、コマンド版は飛び道具。 ワギャ〇イザー、あるいはエコ〇ズAct2風の書き文字が攻撃判定を伴って飛ぶ。発生、速度にすぐれるD版は 相手のゆっくりむーぶを阻止するのに適する。 ありす ゆっくりしていってね! A or C連打 しゃんはーい →↓\A or C ほーらい ←↓/A or C 『しゃんはーい』はカチューシャから人形を生み出し前方に配置。相手を押し返す効果がある。最大8つまで配置可能。 『ほーらい』は高速で跳ねる飛び道具。6/1とらんぷる。 通常種の近くにいるとゲージの自動上昇率が高まるキャラ特性を持つ。しかし近接不得手のシューティングキャラ…… おお、つんでれつんでれ。 ちぇん わかるよー A or C連打 わからないよー 被ダメージ中に←→↓\B or D らんしゃまぁぁぁぁぁ!! ←/↓\→B or D 『わかるよー』はその場でゆっくりする、ゆっくりしていってねタイプのゲージ上昇技。 上昇率は低いものの、ゆっくりしていってねに比べ当たり判定が小さいため特定の飛び道具をかわしつつゆっくりし続けられる。 『わからないよー』は被ダメージモーションをキャンセルして高速離脱する。 『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』はゆっくりらんを召喚。らん存在時は通常技が変化しゲージ上昇率が上がったり性能が変化したりする。 長いコンボをことごとく封殺する『わからないよー』は伝家の宝刀。 しかしながら自身のゲージ溜め能力も高くは無いため過信は禁物。 硬直の大きい『らんしゃまぁぁぁぁぁ!!』を余裕を持って発動する位置取りが重要。 みょん ゆっくりしていってみょん! A or C連打 ちーんぽ! ↓溜め↑A or C でぃーっく! ↓溜め↑B or D 『ちーんぽ!』は黒くてたくましいもの(餡子製の刀)で相手を突き上げる攻撃判定技。ヒット時は黒くてたくましいもので さらに相手を突き上げる追加攻撃が2回まで出せる。 『でぃーっく!』は黒くてたくましいものを振り回す攻撃判定技。当たり判定も大きいので被カウンター注意。 通常技も主に、黒くてたくましいもので行う。 れみりゃ(胴無し) うーうー! A or C連打 たーべちゃーうぞー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ぐんぐにる ↓\→B or D 『たーべちゃーうぞー!』は相手ゆっくりゲージの80%を消し去る大ダメージ技で、当たり判定のない 状態の通常種も捕まえられるが、間合いが狭く発生も遅い。確定状況を作れるかどうかが勝負の分かれ目。 『ぐんぐにる』は槍状の飛び道具。 通常技も弾幕攻撃なので、なぶり殺しと一撃必殺の二段構えで相手をゆっくりさせないよう飛び回れ。 れみりゃ(胴有り) うー! A or C連打 うっうー! ↓\→A or C うあうあ♪ ←→←B or D れみりあうー☆ ←/↓\→A or C たーべちゃーうどー! 相手の近くで↑\←↓\→A or C ざうるす進化 ↓溜め↓ 捕食種ながら、こちらはゲージ上昇重視タイプのゆっくり。 『うっうー!』、『うあうあ♪』、『れみりあうー☆』は連続入力可能。『うあうあ♪』と『れみりあうー☆』には 攻撃判定があり、ゲージを溜めつつ攻撃できる。 『たーべちゃーうどー!』は『たーべちゃーうぞー!』と代わり映えの無い性能だが、各種ゆっくりむーぶでゲージを溜めつつ、 100%阻止に近づいてきた相手に狙えないこともない。 『ざうるす進化』は、文字通りれみりゃざうるすになる。ざうるす時はゲージ上昇速度が飛躍的に上昇するが移動速度が激減。 対れいむCなどに。同一コマンドで元に戻ることもできる。 = = = = 「なるほどねー。 ……それにしてもれいむまりさの顔の違いがわからん……」 れいむはれいむAを、俺はれみりゃ(胴無し)を選んでゲーム開始。 「どぼじででびりゃえらぶのぉぉぉぉぉぉ!!!???」 「このお兄さん、たとえ貴様がゆっくりといえども容赦せん。 それにもともと、ペットショップ使いなもんでね」 * * * * かくしてゲームスタート。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪!」 「ゆゆゆ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕からゆっくりしていってね連呼のれいむ。 ……ああなるほど。 ゆっくりや⑨でもプレイできるように全キャラ連打コマンド持ってるわけね。 「ってやべえ!」 予想以上にゲージの上昇が速い。慌てて弾幕攻撃をするが、すでにれいむのゲージはかなり溜まっている。 少しずつゲージを削るが、通常種ルールの当たり判定消滅とゲージ自動上昇によって開いた差はなかなか縮まらない。 「ゆっぐりじでいっでねっでいっでるでじょぉぉぉどぼじでゆっぐりじないのぉぉぉぉ!!!」 俺は一向に当たる気配のない弾幕攻撃を諦め、れみりゃ持ち前の素早い飛行でれいむに近づく。 「てめーこそ喰らって死ねぇぇぇぇぇぇ!!!『たーべちゃーうぞー!』」 「『ゆっくりはねるよ!』」 すかり。 起死回生の一発は(たぶん暴発した)移動技にかわされ―― 「っ―――!?」 \うぃなー いず れいむ/ 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺は、ゆっくりに負けた男となった。 * * * * 俺はこのゲームを舐めていた。それは認めよう。 俺はれいむの餌を七日分用意して、俺自身の身支度を整えた。 玄関に出た俺をれいむが呼び止める。 「ゆゆゆ!おにーさんどこいくの!?」 「旅に出る。 一週間後に、貴様との再戦を申し込む。それまでこの家には帰らん」 「どぼじでぞんなこというのぉぉぉぉ!!??おにーさんならとくべつにゆっくりしていっていいよぉぉぉ!?」 「もともと俺の家なんだが。 まあそれはいい。PCは置いていくから、せいぜい腕を……腕はないか。 せいぜいあんよを磨いておけ」 「いやだよ!!おにーざんといっじょにいだいよぉぉぉぉ!!!」 「俺も一週間後にもっと強くなって帰って来る。その時まで首を……首はないか。 あんよを洗って待っていろ」 「ゆゆぅぅぅーーーん!!」 * * * * それから、格ゲー仲間の友人に電話をかけ、メシを作ってやるかわりに一週間の格ゲー強化合宿を取り付けた。 言うまでもないが、飼いれいむに対戦で負けた話をしたらたっぷり三十分ほど笑われた。 こうして、友人との対戦に明け暮れる日々が幕を開けた。 「これぶっちゃけ、無しれみ弱いぞ……詰んでるマッチアップが多すぎる」 友人の指摘はもっともだった。 当初は気にも留めていなかった通常種ルールが、実は馬鹿にならない強さで設定されている。 あの日の初プレイでれいむが見せた、れいむAの高火力な開幕『ゆっくりしていってね!』が ゲームエンドに直結するほどにだ。一度奪われたリードはそうそう奪い返せない。 「うーむ……」 「胴れみはどうよ。俺も使ってないけど」 「そういや試してなかったな」 俺はれみりゃ(胴有り)を選び、友人はれいむA。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 「語呂悪ぃ……」 「やっぱそう思うよな」 「うっうー!」 「うあうあ♪」 「れみりあうー☆」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 開幕『ゆっくりしていってね!に対して、『うあうあ♪』の先端に発生する攻撃判定がぎりぎり届かない。 単発の『うあうあ♪』も試したが、そもそもリーチが短く届かない。 そしてやはり逃げ切られる。 「なぁ……れいむAって強キャラじゃね?」 「まごうことなき強キャラだな……むしろ厨キャラまであるな。んで捕食種弱い」 「このサークル、れみりゃになんか恨みでもあるのか……?」 「マイルド調整の結果じゃねーの……それにしてもれみりゃ弱い」 「だけどさぁ、れいむA使う気ないんだろ?お前の性格からして」 「わかってんじゃねーか」 下手の横好きといわれても、俺は勝つためにキャラ換えしたことは一度も無い。 それは誇れることなんかじゃなく、くだらないこだわりに過ぎないのだがどうしてかキャラ換えできない。 それはきっと、俺そのものと強く癒着してしまっているのだ。 たとえば、ゆっくりがゆっくりを求めずにはいられないのと同じようにそれは当たり前のことなのだ。 「……次、行こうか」 「ああ」 俺はれみりゃを選び、再び対戦を始めた―― そして、またたく間に一週間が過ぎる。 俺は友人に礼を言って、帰途に就く。 「じゃあ、行ってくるぜ」 「頑張れよ」 * * * * 「ゆゆゆ!おにーさんまってたよ!ゆっくりしていってね!」 「だから俺の家だと言うに…… まあいい、勝負だ!れいむ!」 「ゆふふ……れいむはかなりあんよをあげたよ。せいぜいゆっくりしていってね」 「あんよ……?ああ、腕を上げたって事な。 俺だってそうさ。一週間前までのみじめな俺には二度と戻らない」 れいむはれいむA、俺はれみりゃ(胴付き)を選んだ。 \れでぃぃぃ……ゆっくりしていってね/ 0.60- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 れいむは開幕ゆっくりしていってねを放つ。単純だが効果的な戦法だ。対して俺も手を打つ。 ボワン 「ゆゆ?」 ざうるす進化だ。これにより、俺のれみりゃはれいむに負けないゲージ上昇率を得る。 友人との合宿で、れいむAの火力に対抗するべく俺が考え出した、たった一つのソリューション―― 俺達は発想を転換しなければならなかった。 相手を倒すことより、自分がゆっくりすること。 それがこのゲームシステムにおいて、もっとも効率よく勝利条件を満たす手段なのだ。 格闘ゲームの常識に捕らわれていた俺と友人が、使えない技として無意識に除外していたざうるす進化。 それこそが勝利への鍵だったのだ。 4.42- 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!……」 「うーうー!ぎゃおー!うっうー!」 Cゆっくりしていってねの連打よりも、ざうるすれみりゃと化したれみりゃの技の方がわずかにゲージ上昇率が高い。 その微細な積み重なりは、やがて目に見える値となってゲージに表れる。現在れいむ57%、れみりゃ65%だ。 5.21- 「ゆゆっれみりゃはゆっくりしないでね!ゆっくりするのはれいむだよ!」 ついにれいむが痺れを切らせた。 「『ゆっくりはねるよ!』」 ――予想通りだ。 「『うーうー!もとにもどるどぉ~』」 ボワン こちらへ素早く跳ねてくるれいむのモーションに辛うじて反応し、れみりゃを通常形態へと戻すことに成功する。 ジャンプからのぼでぃぷれすをガードし、続く通常技を頭を抱えてやり過ごす。 「ぷんぷん!もうおこったよ! 『ここはれいむの……」 微妙な状況だ。 ――発生前に潰せるか(↓Aでカウンターを狙える) ――ガード(削られる/ゲージ2%減) ――喰らえば仕切り直し(ゲージ増減れいむ+7%れみりゃ-5%/それより距離が離れるのはまずい/Cゆっくりしていってねで死ぬ) 「……ゆっくりぷれいすだよ!』」 読み違えれば ――潰せる(無理だ) 負ける。 高速で流れる思考とは裏腹に、反射的に指が動いていた。 「――っ!」 俺の親指はAボタンを外してパッドを掴み、れいむのふくれっ面攻撃をガードする。 ――まだ行ける(ゲージはまだリード/進化or↓AB踊りコンボor投げ) 7.33- れいむが小さく一歩退がった。一瞬間が空く。 「うー!うー!」 それは俺のれみりゃのボイスではない。 画面の左上部から飛来する小さな影。その位置はれみりゃよりれいむに近い―― 「うーぱっく!れいむにあまあまちょうだいね!」 その瞬間、なにもかもがスローモーションに見えた。 俺は指を滑らせ←Cを繰り出す。 ←Cは攻撃判定は無く、前方に踏み出しながらゲージを溜める踊り技だ。 もしもれいむが攻撃を繰り出したらカウンターとなってしまう。 しかし俺には確信があった。 ――次に貴様は『ゆっくりはねるよ』と言う れいむは一生懸命にあんよで十字キーを操作している。 間違いない。れいむにとっては複雑な技コマンドを出すために、常時よりも丁寧にあんよを動かしている。 「『ゆっくり……」 ――逃がさん(投げ)(投げ)(投げ) すでに←Cの硬直を利用しコマンドは完成している。 「……はねるよ!』」 ――ここからなら ←Cで踏み出したこの位置からなら、ぎりぎり届く。 しゅばっ 「うー!」 れみりゃの手が伸びて、今まさに後方へと移動しようとしたれいむを捉える。 「ゆゆぅぅぅぅぅーーー!!??」 「つかまえたどぉ~。『たーべちゃーうどぉー!』」 画面がブラックアウトし、れいむの絶叫が響き渡った。 * * * * \うぃなー いず れみりゃー/ 「うっうー!」 「ゆゆん……さすがはおにーさんだよ!」 「いやーれいむこそなかなかだったぞ。レバガチャかと思ったら意外にコマンド正確だったしな」 だからこそキャラ差を読みでカバーすることができたわけでもあるのだが。 「もういっかい!もういっかいだよ!」 「よーし、やろうか」 俺は快く承諾する。 「さぁーて、”リベンジも果たしたことだし”俺もれいむA使っちゃおうかな~」 俺は勝つためにキャラ換えはしないが、その他の理由でキャラ換えすることは結構あるのだ。 「ゆゆっ!まけないよ!れいむがいちばんうまくれいむをつかえるんだよ!」 「俺だって負けないぞー。何せ、六日間もゆっくり練習してきたからな」 俺はこの時のために練習してきたれいむAで、れいむを完膚なきまでに叩きのめした。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりはねる(キャンセル)ぷくー! ゆっくりしていってね!ぷくー!ここはれいむのゆっくりぷれ(キャンセル)ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!ゆっくりしていっ(キャンセル)ばかなの?ゆっくりしていってね!ばかなの?しぬの? ゆっくりしていってね!ばかなの?ばかなの?ばかなの?しぬの?ゆっくりしていってね!」 「ゆあああああああ!!!!!おにーざんばっがりずるいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!!! でいぶもゆっぐじじだい゛よ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 俺は軽快にコンボを継続し、れいむを空中に浮かせ続けながら言ってやった。 「おそらをとんでるみたいだろ?れいむ、ゆっくりしていってね!」 「ゆぐぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!!!!!」 END ■ □ ■ □ ちなみにこの二ヶ月後、れいむA、れいむC、ちぇん、みょんに10割コンボが発見され―― 世界は、核の炎に包まれた。
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出勤前にモーニングコーヒーと洒落込むべく、今日は早めに家を出た。 会社最寄り駅近くの喫茶店は出勤者向けに早くからやっている。 そこでトーストにスクランブルエッグで軽く朝食を取って、それからブラックをゆっくり味わおう。 しょせんは大したものではないが、こういうのは気分が大事なのだ。その程度の事で優雅さを味わえるのだから、素直に味わった方が利口だ。 時間は十分にある。 今日は随分と暖かく晴れていて良い気分である。俺と同じように駅に向かう出勤者も何となしに起源良さそうに見える。 橋に差し掛かると対岸の道路に何やら人だかりが出来ているが見えた。 あれは何だろうか。電柱の周りで、十四五人ばかり各々その先の方を見上げている。 よく見ると電柱のてっぺんには一匹のゆっくりがおり、「わからないよー!わからないよー!」と泣き叫んでいた。 本当に分からない。 猫が登って降りられなくなるというのは良く聞く話だが、何で饅頭生命体があんな所に登る事が出来るのだ? しかし……俺は考え直した。そもそもゆっくりなのだ。饅頭が動き、言語を解するのだ。 それを思えば電柱に登るなど大した事でないのかもしれない。 マンションだろうと這い上がってくる奴らだ。 それにしても、馬鹿は高い所が好きと言うが、わざわざ表現してみせる事もないだろう。 橋を渡り、人だかりに近付くと、その輪の中、電柱の根本にはもう一匹のゆっくりが泣き叫んでいた。 「ちぇえええん!ちぇえええええんッ!」 何やら尻尾のようなものを沢山生やらかしたゆっくりが、電柱を見上げてひたすら叫んでいる。 その顔は傷だらけで、帽子は薄汚れ所々すり切れた後が見える。そして近くにこいつのものと思しき尻尾が二本ほど転がっていた。 俺は不思議に思い足を止めた。そうして人だかりに加わってしまった。 なぜこのゆっくりは傷だらけなのだろう。二匹はどういう間柄なのだろう。 一方の疑問は直ぐに解消された。 真下で泣いていたゆっくりは突然泣き止むと、その場を後ろに下がり、勢いを付けて電柱に突進したのだ。 助走を付けてジャンプし、ゆっくりらしからぬ見事な跳躍を見せ、そのまま電柱に激突した。 傷だらけになるわけだ。 「らんしゃまあああ!」 電柱の上から「ちぇえん」と呼ばれたゆっくりの泣き声が聞こえる。 「らんしゃま」と呼ばれたゆっくりは痛みにぐるぐる回っていたが、そのうち止まってまた泣き出した。 俺は素早く見物人の顔を見回した。 饅頭とはいえ、他者の不幸を見て機嫌良くなる奴というのは気持ちの良いものではない。 まあ俺もよくゆっくりを不幸にしているのだが、それとて仕方なしに投げ込んでいるのだ。 だが皆の顔は真剣そのものだった。老若男女、一様に真面目な顔をしている。 沿線の私立の制服を着た小学生達など、「頑張れ!」と声を掛けている。 世の中捨てたものではないらしい。 まあここの住民はよくゆっくりを不幸にしているのだが。 「らんしゃま」は再び電柱に距離を取った。 小学生のうち一人が電柱に向かって飛び、一歩二歩駆け上がる動作をしてみせる。登り方を教えているらしい。 ゆっくりは再度助走を付けた。 「ちぇええええん!」 今度は角度も良く飛び付く事が出来た。その勢いで電柱を駆け上がる。 そして二メートル程登ったところで勢いが尽きてそのままずり落ちてきた。 頭を地面に打ってひたすら回り続けるゆっくり。今度はさっきより回る時間が長い。 その傍らには新たにもげた尻尾が落ちている。 上の方からは相変わらず「わからないよー!」と泣き声が聞こえてきた。 三回目。 今度は電柱との距離を倍にとって勢いを稼ぐつもりのようだ。 相当早いスピードで電柱に飛び付く。角度も上々。 「らんしゃま」は、これならてっぺんまで上れるだろうという勢いで、電柱に刺さっている足場の鉄棒に激突した。 尻尾が何本かバラバラ降ってくる。 そのうちの一本が、登り方を教えていたのとは別の小学生の頭に落ちてきた。 その子供は帽子の上にのっかった尻尾を手に取りまじまじと見つめ、「おいなりさんだ。」と言って食ってしまった。 「おいしい。」 そんなもの食って大丈夫なのか。 それはともかくとして、苦痛から立ち直った「らんしゃま」はまじまじと電柱を見やっている。 障害物の位置を確認しているらしい。 段々上達しているし、こいつはそれなりに学習能力があるようだ。 見物人は一人として立ち去る者もなく成り行きを見守っている。 会社とか学校とか大丈夫なのか。 四回目。 既に満身創痍な「らんしゃま」だったが、尻尾が減ったせいか俊敏になった気がする。 今度は更に早いスピードで飛び上がって、螺旋を描くようにして電柱を駆け上がっていった。 鉄棒も見事にかわしてゆく。 三メートル、四メートル、どんどん登ってゆく。 そして電線や変圧器などの構造物も難なくかわした。 見事としか言い様がない。 だが回避行動よって勢いが無くなってきた。 九割がた登ったところでほとんど止まってしまった。 「らんしゃまあああッ!」 見物人は、俺も含め固唾をのんで見守っている。ここから落ちたら助からないのではないか? 「もう一息だ」と、全員の心が一つになったような気がした。 「ちぇええええんッ!」 「らんしゃま」は叫ぶと最後の力を振り絞って蹴り出した。 そうして残りの一割を一気に飛び越え、とうとう頂上に辿り着いた。 「らんしゃまあ!」 「ちぇえん!」 周りからは拍手喝采が沸き起こっている。 増えて二十人になった見物人達は、良くやった、頑張った、と皆満足そうだ。 だが全員すぐに不安顔になった。見るとゆっくりは不安定にゆらゆらゆれている。 「わからないよ!わからないよー!」 「わからないよー!」 あー。 あいつも降りるときの事考えてなかったんだな。 電柱の頂点に二匹は狭すぎたようだ。 ゆっくりはしばらくゆれていたが、そのうち耐えきれなくなって、ふっ、と落下してきた。 「わ゛がら゛な゛い゛よ゛!」 「ヴュッ」という生々しい断末魔と共にゆっくりは揃って地上に還ってきた。 「あーあ」と、全員の心が一つになったような気がした。 「ちぇえん」は「らんしゃま」の下敷きになってしまった。 「らんしゃま」は下敷きからころんと転がって、仰向けで「ゆっ……!ゆっ……!」と呻いている。 「ちぇえん」は俯せになって身じろぎもしない。 しばらくすると「らんしゃま」は横目で「ちぇえん」を見つめ、何か語りかけだした。 しかし素人目に分かるが即死である。どうも惨い結果になってしまったようだ。 「行こっか。」 ばつの悪い顔で即死と瀕死の二匹を眺めていた見物人は、小学生を先頭に早々と立ち去っていった。 ここの住民はドライだなあ。 現場には俺と二匹だけが取り残されてしまった。 歩行者が何人かこちらを見たりもするが、特に関心も示さず通り過ぎてゆく。 「ちぇ……えええん……」 「らんしゃま」はひたすら語りかけているが、当然のように反応は無い。 なんだか見るに忍びない姿だ。仕方ない。 死体をひっくり返せば一目瞭然なのだろうが、さすがにそれは酷な気がする。 俺は傍にしゃがみ込んで、既に分かっている事だが、改めて死体を確認してから瀕死のゆっくりに向かって首を振って見せた。 「ちぇえん……」 どうやら理解出来たらしい。手間が省けて助かる。 こいつも尻尾を全部失った上に、頬や額が裂けていて助かる見込みは無いだろう。 俺は立ち上がって右足を上げた。武士の情けとか仏心とか、そんなところだ。 俺を眺めていた「らんしゃま」は怯える事もなく、むしろ急かすように目を閉じた。 間抜けな割に妙に理解の良い奴だ。 止めを刺した後、あの世で仲良くやってくれと思いつつ二匹を川に投げ込んだ。 潰れた死体はすぐさま水に溶けてゆく。 そして俺は駅とは反対の、家に向かって歩き出した。 革靴が随分と汚れてしまったのだ。 こんな格好では会社に行けない。家に帰って靴を磨き直さなければならない。 モーニングコーヒーなどしている時間はもう無いだろう。 俺は陰鬱な気分で家に向かった。 By GTO
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注意俺設定 って書いてあるssが多いけど俺設定じゃない虐ssってあるんだろうか? 文章下手だよー、見にくいよ、誤字脱字は許してねー。 主観がころころ変わります。 ネタかぶり乙・・・すいません。 長編です。5,6分割してゆっくり仕上げたいと思っています。 それではどうぞ。 その群れは全滅の危機に瀕していた。 すでに木枯らしが吹き始め、木々の色は赤色から茶色へまるで老けるかのように変わっていった。 普段ならそろそろ越冬の準備を終え、巣を塞ぐ作業に取り掛からなくてはならない時期だ。 しかし、この群れでは未だに越冬できるまでの餌すら集まっていない状況である。 「ゆ、このままじゃ冬を越せないよ。」 そういうのはこの群れのリーダーを務めているまりさである。 この群れは現在100匹程度のゆっくりがいる。 ドスはいないが今までは近くに外敵が存在しなかったのでそれなりに長い期間ここに巣を構えていた。 しかし最近では幾分か状況が違ってきた。 まず、今まで群れの中心の役割を果たしていたゆっくり達が突然いなくなってしまったこと。 二つ目に急に人間がゆっくりを狩り始めたこと。 三つ目にすっきりが重なって人手(ゆっくり手?)がいる時機に動けるゆっくりが非常に少なくなったこと。 四つ目に急激に群れの人口が増えたことによる周辺の餌の乱獲である。 様々な状況が重なり今の状況になっていた。 このリーダーのまりさは前リーダーが失踪してこの群れの崩壊を感じ取っていた。 そして、この群れをまとめる為にリーダーを買って出た リーダーを急に失くした群れはすぐに好き勝手に自分の欲望を果たそうとし、 その結果蓄えを全て使い果たし、群れの数もすぐに倍までに膨れ上がった。 このまりさがリーダーを名乗り出なければ、この群れはすでに崩壊していただろう。 しかし、このまりさはリーダーになったはいいもののなぜ群れが越冬出来なくなるほどに追い詰められているかが理解できなかった。 今まで道理に餌を集めてなぜ餌が集まらないのだろう? 「なんでえさがあつまらないんだろ?」 と親友のぱちゅりーに疑問を投げかける。 このぱちゅりーは子供からの幼馴染的な存在であり、その博識さにまりさは一目置いており参謀役を頼んでいる。 「むきゅぅ、なぜかしら・・・まえよりみんなたくさんえさをとっているはずなのに・・・。」 「このげんいんはまえのおさのせいなんだぜ!まりさたちをこんなにくるしめるなんてさいていのりーだーだぜ!」 「そうだねー。ゆっくりできないおさだったね。わかるよー。」 今この場には群れの中心のゆっくりが5匹程集まり、今後の行動方針を話し合っていた。 といっても解決方法どころか問題点すら分からないようで、いつものことのように前のリーダーの 性で餌があつまらないという責任の押し付けに話題は変わっていた。 ちなみに前長を含む幹部達は非常に優秀なゆっくりであった。・・・あくまでゆっくりにしてはだが。 越冬も幾度か経験し、貯蓄の概念も持ち始め、冬場は人手が必要なので普段は狩に出ない母ゆっくり にも狩にでるように促したりもしていた。(この指示が結果として冬場の人口爆発を防いでいたのだが。) その貯蓄を全て無為に消費し、越冬のために餌を貯蓄しないでいるのは間違いなくこの若い幹部の責任である。 とはいえ、前長の失踪は唐突であり通常行われるはずの知恵の継承がされていなかった。 若い将来の長の候補ゆっくりは現職の長の元で雑用などをこなし、その業務について学んでいく。 それらなしにいきなり若い幹部候補は幹部になってしまったので、今まで長年培ってきた 知識が全て失われてしまった。 しかし、原因は分からぬがこのままでは冬を越せないことは現在の貯蓄量から確かであった。 「ゆっへっへっへ、おこまりのようだぜ。」 暗くなった場に場違いな、野蛮さをにじませた声が響く。 幹部達が声のする方向へ目をやると、そこに一人のまりさがいた。 「ゆゆ、まりさがなんのようなの?」 長のまりさ怪訝な表情をそのまりさに向けた。 このまりさは群れの中には必ず出てくる外れ者 所謂アウトローを気取って働きもしない怠け者(と幹部達は思っていている)である。 普段はこんなまじめな場どころか群れ全体の集会(幹部の決定などを発表する)にもでてこない。 しかし、群れの若いゆっくりには非常に人気が有り幹部達はこのまりさに良い感情を持っていなかった。 「えさがふゆをこせるほどあつまってないんだぜ。このままじゃまずいんだぜ。」 「ゆゆ!!・・・なんでそのことを。」 「そんなのすぐわかるんだぜ。そこでていあんがあるんだぜ。」 「ゆゆ・・・ていあんってなに?」 「ちょっとまえにまりさがたびにいったときのことをおぼえてるか?だぜ」 「ゆ、おぼえてるよ。あのときはもうぜんいんゆっくりできなくなってるかとおもったよ」 このまりさは東の方角に仲間(ここで言う仲間とはまりさの悪い友達に当たるのだが) と一緒に2週間ほどの旅に出かけていた。 2週間はゆっくりたちにとっては非常に長く、群れの皆はもうまりさは死んだと思っていた。 しかしまりさは昨日生きて帰ってきた。ただし一緒に出発した仲間は一緒ではなかった。 「そのたびでまりさはすごいゆっくりぷれいすをみつけたぜ!」 このまりさが言うにはこの群れから7日ほど歩いたところににおいしいやさいが たくさん生えている、恐らくこの群れ程度ならかなりの長い期間養える 最高のゆっくりプレイスがあるということだ。 「おやさいが・・・たくさん・・・。」 以前この長のまりさはおやさいを一口だけ食べたことがあった。 それはいつも食べている草などよりも甘くとてもおいしかったことを覚えている。 思わずそこにいる幹部達は全員そのときの味を思い出してよだれをたらしてしまった。 しかし、後にも先にも野菜を食べたのはそれきりであり、それがたくさんあるとはにわかには信じがたかった。 「わからないよーそれはほんとかなーわからないよー。」 「そうだね、しんじられないよ。それにそこまでいったならなんでおやさいをもってこなかったの?」 長のまりさの言うことは最もで、 その発言は言うならば海賊が一面の金銀財宝をこの目で見たと一般人に吹聴するようなものであった。 「ゆ、やまほどあったからなかまたちにおやさいをはこばせてまりさだけさきにかえってきたんだぜ。 たくさんのおやさいをはこんでるからまりさよりずっとゆっくりこっちにむかってきてるんだぜ。」 「ゆ!?ほんとに?」 それがほんとうならば食糧問題は一気に解決する。幹部達はまりさに詰め寄る。 「むきゅ??なんでひとりだけでもどってきたの?おやさいがたくさんあるばしょがわかったのなら ゆっくりもどってくればよかったじゃない?」 ぱちゅりーの疑問はもっともである。たしかに群れとしては食料事情はひっ迫しているが、 まりさ個人(?)に関して言えば目の前にわざわざお宝の山があるのにひとりだけお野菜も食べずに 戻ってくるのは普段の素行からして考えられないと幹部の皆は思っていた。 「ゆったぜ?このままじゃまずいってだぜ。」 「ゆん!?」 長まりさは気づいた、このまりさは群れのためにおいしいおやさいを食べずに群れまで急いで このことを伝えに来てくれたのだ。 ぱちゅりーや他の幹部達もこのことに気づいて尊敬の眼差しでまりさをみつめた。 「ゆぅ・・・まりさ。」 「だぜ。まぁこんなさびれたむれでもうまれこきょうなんだぜ。」 とまりさは照れたようにそっぽを向きながらつぶやいた。 「ゆぅ・・・。」 長まりさは胸に暖かいものが宿るのを感じた。 そして、そのまりさの献身を無駄にしないためにも早く行動しなくてはならない。 「ゆん!それじゃおやさいがたくさんあるゆっくりぷれいすまでえんせいをするよ!!」 そう、猛々しく長まりさは宣言した。 続く いやね、わざわざ遠征するのにゲスまりさが仲間に野菜を持ち運びさせたのは 野菜がたくさんあるという証拠を見せたかった。 しかし長はゲスまりさのいうことを信じたってことにしておいていただけますか。 後この群れは人間という存在は知っているけど会ったこと無いということでお願いします。 このSSに感想を付ける
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「じゃおおおおおおん!!」 怪獣のような雄たけびが森に響く。 声の主はゆっくりめーりん。知能はあまり無いが、皮が分厚く耐久力は凄まじく高いゆっくりだ。 そして今のようなじゃおおおんという言葉(?)しか話せないため他のゆっくりから苛められる存在である。 「じゃおおおおおん!」 再び声を上げるめーりん。良く聞けばその声は悲しみの色を含んでいることがわかる。 そう、このめーりんも他のゆっくりに苛められている真っ最中なのだ。 彼女を取り囲むのはゆっくりれいむとまりさ、そしてありすだった。 れいむ達三匹はこの辺りでは誰も適うゆっくりがいないほど力の強いゆっくりだ。それ故いつも好き放題している。 めーりんの後ろには大きな木が道を塞いでおり、逃げ場はない。 特に珍しくもない光景である。 「ゆっ! やっぱりめーりんをいじめるのはたのしいね!」 「『じゃおおおおん』だって! いつきいてもへんななきごえだね!」 「いなかもののめーりんはとかいはのわたしたちにあそんでもらえるだけでもかんしゃすることね!」 それぞれ好き勝手なことを言い、めーりんに体当たりしたり石を投げたりしている。 皮の厚さのおかげで致命傷には程遠いものの、めーりんの体はボロボロだ。 その目には涙が浮かんでいる。 何故自分はいつも苛められるのだろう。何もしていないのに、ただゆっくりしているだけなのに。 「じゃ…じゃおおおん!」 「ゆっ! こいつないてるよ! きもちわるいね!」 「めーりんのくせになまいきだね!」 再び石をぶつけようとれいむ達は近くにあった手頃なそれを口に銜える。 めーりんは襲い来るであろう痛みへの恐怖から思わず目を閉じた。 そして。 「待ていッ!!」 耳をつんざくような自分たち以外の大きな声。突然聞こえたそれに四匹は動揺する。 だが辺りを見回してもこの周辺には自分たちしかいない。 「ゆっ!? だれなの!」 「かくれてないででてきなさい! このいなかもの!」 だがそんなれいむ達の言葉を無視して謎の声は続ける。 「愚かなるゆっくりどもよ…、森の声を聞け! 風の声を聞け! 弱き者を虐める貴様らの心を嘲笑っているぞ!」 そして大きな影がめーりんを守るように三匹の前に天から舞い降りた。正確には木の上から飛び降りてきた、のだが。 現われたのは妙な姿をした生き物だった。いや、形を見れば人間だとわかる。それは間違いない。 だがそれは顔に変な――少なくともゆっくり達はそう思った――顔の上半分を覆う仮面を被り、大きなマントをはおっているが背負っている籠のせいでマントは風になびかずにいる。 そしてその肩には小さなゆっくりぱちゅりーがちょこんと乗っていた。 呆然とする四匹を気にせず、突然現れたそれは声高々に名乗りを上げた。 「ゆっくり仮面! ただいま参上!」 「むきゅ。説明しよう、ゆっくり仮面は弱きを助け強きを挫く正義のヒーローである」 バーン、と決めポーズをとるゆっくり仮面(自称)と解説役のぱちゅりー。 相変わらずゆっくり四匹は呆気にとられたまま声も出せない。 そんなゆっくり達を無視してゆっくり仮面は続ける。 「哀れなるゆっくり共よ、貴様らのそのゆっくりできぬ腐った根性、叩き直してくれよう!」 今までの出来事を処理できず、フリーズしていた餡子脳がここで再び動き出す。 とりあえず目の前の変な格好をした人間が何物かはわからないが自分達が馬鹿にされたことはわかる。 そういうことには敏感に反応する餡子脳であった。 「ゆっ! よくわからないけど、れいむたちをばかにするおじさんはゆっくりしんでね!」 「そうだね! ゆっくりしね!」 「きっといなかもののばかだからありすたちのおそろしさをしらないのよ!」 次々と罵倒を浴びせる三匹。だがゆっくり仮面はどこ吹く風、腕組みをして余裕しゃくしゃくだ。 「ふはははは、やはり臆病な悪党だな。私が恐ろしくて言葉でしか攻撃できないのだろう!」 見え見えの挑発。だが単純な餡子脳には効果は抜群だった。 そんな態度にゆっくり達が怒り始める。 「ゆぅぅ! もうおこったよ! おじさんはゆっくりしね!」 と、まりさがゆっくり仮面に突撃する。 勢いよくゆっくり仮面の足元へと体当たりするまりさ。しかしそこは人間とゆっくり、圧倒的な力の差は崩せない。 自分の攻撃が全くダメージを与えられていないことにさらに憤るまりさ。 何度も何度も体当たりをするが、ゆっくり仮面は全然動じない。 どれぐらい繰り返しただろうか、まりさの顔に疲れが見え始めた。 「まりさ! がんばって! もうすぐやっつけれるよ!」 「とかいはのまりさのこうげきをうけてへいきなわけないわ! あいてはやせがまんしてるだけよ!」 本気でそう信じ切っている友達の声援を受け、まりさは自分の体から元気が溢れ出てくるのを感じた。 そうだ、攻撃が効いてないわけない。もう一息だ。 まりさはそう信じ、全速力でゆっくり仮面に向かって突進する。 「ふむ。いいか、悪のゆっくりよ。攻撃とはこういうものだ…ゆっくりキックは破壊力!」 と、ゆっくり仮面は勢いよく突っ込んできたまりさの顔面に蹴りをぶしかました。 「ゆ゛ぶう゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!??」 綺麗な放物線を描いて飛んでいくまりさ。しばらく飛び、その延長線上にあった木にぶつかって地面に落ちる。 仰向けに倒れたまりさの口からは餡子が漏れ出していた。 白目を剥いているが、体はピクピクと痙攣しているので気絶しているだけだろう。 「ま゛り゛ざあ゛あぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「どうしでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」 さっきまではにやにや笑っていた二匹が泣きながらまりさに駆け寄る。 二匹が何度も呼びかけるがまりさの意識が戻る気配はない。 「ゆ゛うぅぅ!! ありす! まりさをみててあげてね! れいむがかたきをとってくるよ!」 「きをつけてね! あいつ、いなかものだけどあなどれないわ!」 れいむは振り返り、ゆっくり仮面を睨みつける。絶対に許さない、と。 そしてれいむは駆ける。友のため、そして貶された自分のプライドのため、あの人間を倒すと心に決めて。 勢いよく走るれいむがある地点でジャンプした。 足は危険と判断したのだろう、上半身に攻撃するための全力での跳躍。 「ゆっくりしんでね!」 「今のを見てもまだ力の差が理解できぬか…。所詮は脳なしの腐れ饅頭だな」 再び馬鹿にされ、鬼のような顔で怒るれいむ。 だがそんな悪口を言えるのもここまでだ、自分の全力の体当たりでゆっくりしね!と彼女が思った瞬間。 「ゆっくりチョップはパンチ力!」 「ゆ゛べっ!」 垂直に手刀を放つゆっくり仮面。それは迫ってくるれいむの脳天に直撃した。 べちゃっ、という音と共に顔面から地面に叩きつけられるれいむ。 皮が破れ、少量の餡子が飛び出したが命に関わるほどではないようだ。 まりさと同じく気絶しているだけであろう。 「ああ゛…ああ゛あ゛゛あ…」 ありすは恐怖した。まさかあの二人がやられるなんて。 そんなありすにゆっくり仮面ははゆっくりと近づいていく。 ありすの前で立ち止まり、自称正義のヒーローは静かに問う。 「さて、どうする? 君も私と戦ってみるかね?」 そんな選択肢はありすには無かった。三人の中で一番弱い自分が適うはずはない。 ではどうするか。 逃げる? そんなこと出来る筈がない。 他のゆっくりならまだしも、れいむとまりさは幼い頃からずっと一緒に育ってきた親友だった。 そんな二人を見捨てて逃げるくらいなら死んだ方がマシだ。 ならば――。 「お゛じざん、ごめんなざいぃぃぃぃぃ。あり゛ずがわるがっだでずぅぅぅぅぅぅ!!」 ありすは泣いて謝った。 こうやって反省したふりをすれば許してくれるかも知れないと考えたから。 以前三匹が人間の畑を荒らした時も、泣いて謝ったら許してもらえたという経験があったからこその判断。 もっとも、その畑の主が虐待お兄さんではなく善良なおじさんだったからなのだが。 都会派の自分としては情けないが命には代えられない、とありすは思う。 「ふむ、なるほど。君は反省しているわけだね?」 「そうですぅぅぅぅぅ!! も゛うこれがらはめ゛ーりんをい゛じめたりじまぜんんんんんん!!」 「うん、それはいい心がけだね」 ゆっくり仮面の露出した口元が微笑む。それを見てありすは心の中でほくそ笑んだ。 ほら、やっぱり人間は馬鹿だ。簡単に騙される。 とりあえずこの田舎者がどこかに行ったられいむとまりさの手当てをしよう。 めーりん苛めだってやめるものか。今日の腹いせに今度は思いっきり三人で苛めてやる。 そんな事をありすが考えていると、急に頭を掴まれた。 ゆっくり仮面は右手でありすを持ち上げ、一気に力を加える。 「い゛い゛いだぁぁぁぁい゛!! どうじででぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 突然の痛みに戸惑うありす。この馬鹿な人間は許してくれたはずなのに。 さらにゆっくり仮面は掴む力を上げ、指がありすの皮に食い込んだ。 演技ではなく本気で顔を歪めるありす。そのとかいは(笑)の顔は涙や鼻水でぐしょぐしょになっている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁ!!! あ゛り゛ずのあ゛だま゛がぁぁぁぁぁぁ!! い゛だい゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 「反省した? 馬鹿を言っちゃいけない。貴様らのようなゆっくりがこの程度で反省するわけがなかろう」 「あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!! ぼんどうでずぅぅ!! だがらゆるじでぇぇぇぇぇぇ!!!」 ゆっくり仮面はそのまま左手で気絶しているまりさを掴んだ。 元の場所へと戻り、置いていた籠に二匹を詰め込む。 さらにその上からこれまた気絶しているれいむを押し込んだ。 「とかいはのありすはこんなところじゃゆっくりできないわ!」 もう元気を取り戻したのか、抗議してくるありすを無視してゆっくり仮面は未だ状況が理解できていないめーりんに近づいた。 ビクッ、とその体をめーりんは震わす。もしかしたら自分も酷いことをされるのかもしれない。 ゆっくり仮面はめーりんの前でしゃがみ、手を大きく振り上げ…めーりんの頭を優しく撫でた。それと同時に肩に乗っていたちびぱちゅりーが地面に飛び降り、めーりんを周りから観察し始める。 「じゃ…じゃおおおん?」 最初は怯えていためーりんだが、相手が自分に危害を加える気がないとわかると笑顔が浮かぶ。 そしてゆっくりと理解した。この人は自分を助けてくれたのだということを。 無邪気に笑うめーりんにつられてゆっくり仮面も微笑む。 それは先程のありすのときに見せた作り笑いなどではなく、心の底から湧き出た本物の優しい笑みだった。 「ぱちぇ、めーりん君の様子はどうだ?」 「問題ないわ、皮の表面が破れてるだけ。命に別状はないわ」 てきぱきと動くちびぱちゅりーの言葉にゆっくり仮面は安堵の息を吐く。 この解説役兼マスコットのちびぱちゅりーは知識が豊富でゆっくりに関する医術も少々心得ていた。 と言ってもゆっくりは食べ物なので医術もクソもこれといってないのだが。 「よし、ではこれを使おう」 と、ゆっくり仮面はポケットからあるものを取り出した。 「むきゅ。説明しよう、これは『ゆっくり傷薬』。その名の通り、傷ついたゆっくりを癒すゆっくり仮面七つ道具の一つである」 ちびぱちゅりーの解説に頷きながら、ゆっくり仮面は傷薬をめーりんの患部に塗っていく。 傷口がしみるのか最初は嫌がっていためーりんだが、次第にゆっくりし始めた。 この傷薬から発せられる匂いにはゆっくりを落ち着かせる効果もあるのだ。 「ちなみに加工場製の税込315円よ」 「余計な事は言わんでよろしい」 薬を塗り終え、ゆっくり仮面は立ち上がる。 「よし、ではそろそろ行くか」 ありすの喚き声が聞こえる籠を背負い、ちびぱちゅりーを肩に乗せる。 ちびぱちゅりーがちゃんと捕まっているのを確認したゆっくり仮面は再びしゃがみ、めーりんの頭を右手で優しく包んだ。 「めーりん君、これからも辛いことがあるかもしれない。だがそんな時は今日のことを思い出してほしい。君は一人じゃない、君にはこのゆっくり仮面がついている。 それに私だけではない、他の人もきっと助けてくれるだろう。だからいつでも笑っていてくれ。 なぜなら、正義とは常にポジティブなものなのだから!」 グッ!と左手の親指を立てるゆっくり仮面。その口元から覗く白い歯がキラーンと光った。 ゆっくりめーりんはまるで子供のような、きらきらと輝く純粋な瞳でそれを見ている。 「ではさらばだ! ふははははははは!」 鬱陶しいほど声高らかな笑い声を残してゆっくり仮面は去って行った。 「じゃおおおおおおおおん♪ じゃおおおおおおおおん♪」 遠くなっていく背中にめーりんは叫び続ける。 言葉の意味はわからなかったがその声には確かに喜びと感謝が強く含まれていた。 今日もか弱きゆっくりを助けたゆっくり仮面。次はどこへとゆくのだろうか。 明日は明日の風が吹く。弱きを助け強きを挫く正義のヒーロー、お呼びとあらば即参上! ありがとう!ぼくらのゆっくり仮面! つよいぞ!ぼくらのゆっくり仮面! 所変わって先ほどの森から少し離れたところにある何の変哲もない家。 静けさに包まれていたこの場所に主が戻ってきた。 「ただいまー」 「むきゅ、ただいま」 家に入ってきたのはゆっくり仮面とちびぱちゅりー。そう、ここが彼らの自宅だった。 ゆっくり仮面は背負っていた籠を床に置き、マントを脱ぐ。 「ふぅー、今日も楽しかったぜ」 そう言いながら顔に付けていた仮面を外すゆっくり仮面。 その下から現れたのは特にこれといった特徴のない爽やかな青年だった。 「むきゅ、お疲れ様。何だか今日は一段とテンション高かったわね」 ちびぱちゅりーが青年の肩から近くのテーブルに飛び移る。 彼女は普通のゆっくりとは違う、加工場生まれのゆっくりだった。 体は小さいが中の餡子はよく詰まっており、いわゆる知能強化型のゆっくりだ。だから台詞にも漢字が使えたりする。 一人暮らしが寂しかった青年が話し相手として加工場から購入したもので、今では二人は強い信頼で結ばれた相棒となっている。 「ふふっ、どうしてかは知らないけど気分が高まってね。木から飛び降りた時に脳内で何か分泌されたのかもしれない」 「別にいいけど、あまり無茶はしないでね」 和気あいあいと和む二人の耳に籠に詰められたゆっくりありすの声が聞こえた。 「ちょっと! さっさとだしなさいよね! とかいはのありすにこんなことしていいとおもってるの!?」 「ああ、忘れてた」 「お兄さん、こいつらも『お仕置き』するの?」 ちびぱちゅりーが聞く。 これまで捕えてきた悪のゆっくりは青年が『お仕置き』してその腐った性格を治しているのだ。 正義のヒーローとして悪を捕まえ、それを『お仕置き』によって更生させる。 それがお兄さんの趣味だった。ちびぱちゅりーも何だかんだで楽しんでいる。 「当然だ。ぱちぇも知っているように、俺は一方的な『弱い者いじめ』をする奴が大嫌いなんだ」 その言葉を聞いてちびぱちゅりーは溜息を吐いた。 が、それは別に不快感から来ているわけではなく、元気な子供に手を焼く母親のような印象を受ける。 「やっぱりあんたいい性格してるわ」 「おいおい、照れるじゃないか」 「むきゅー、褒めてないわよ」 ははははは、と二人の楽しげな笑い声が家の中に響く。 お兄さんとちびぱちゅりー、二人の妙な趣味はこれからも続く。続くったら続く。 おしまい このSSに感想を付ける
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ゆっくり達を飼い始めてどれくらいになるだろうか。 最近私が教育していたゆっくりに変化が訪れた。 私が育てているのはれいむ種が2匹、まりさ種が2匹、ありすが1匹、みょんが1匹。 それぞれ違う部屋で、別々に教育を施した。 人間に対して元より持つ野性的な行動を取らせない事が第一の教育方針。 これはどの種にも行い、それをしっかり身に着けさせるには骨が折れた。 しかし今回この場で話すのはそんなストレスがマッハになるような事例では無い。 この、各ゆっくりに対する育て方の違いで―この謎の生命体は驚くべき変化を遂げたのだ。 1つ目のれいむの部屋に入る。 「おにーさん、おかえりなさい!」 小さい畳を敷き、ミニチュアな鳥居と賽銭箱を備えた透明ケースから声を上げるれいむ。 「ただいまれいむ。今日もれいむのゆっくりぽいんとでゆっくりしてたんだね」 「ええ、ゆっくりしてたわ。でもちょっとくらいなにかおこらないの?」 れいむは部屋に一緒に住まわせていた亀の上に乗りにこやかに話す。 このれいむ、リボンには変化が無いものの、髪の毛が綺麗な紫色となっているのだ。 こんな感じになったのは―ここに住まわせて1ヶ月位経った頃だろうか。 ゆっくりと他の動物を一緒に住まわせたらどうなるか試した所、偶然にもこのような変化をもたらしたのだ。 「そんなれいむの為に、今日はこんなのを用意してみたよ」 そう言って私は捕まえてきていた野生のれいむをケースの中に入れる。 「ゆ!ここはとてもゆっくりできるよ!!!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!!!」 何と言うか、お約束の一言。 よくもまぁこんな言葉をすらすら言える本能を持っているものである。 「ゆゆ、へんなれいむがいるよ、かみのいろがへんなれいむはゆっくりでていって…ゆべっ!?」 「ひとさまのいえにきて、よくもまぁそんなくちがたたけるわね」 紫髪のれいむに対して暴言―おっと、本能の言葉だった―を吐きつけるれいむに対してのしかかる紫髪れいむ。 「どぼじでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 「あなたが、みのほどをしらないからよ」 「ゆびぃっ」 泣き喚くれいむに上からのしかかり、息も絶え絶えになったれいむに冷たい言葉を放つ紫髪れいむ。 そしてそのままとどめを刺さずに放置。 「ふぅ、これでいへんかいけつね。おにーさん、すてきなできごとありがとね」 髪の毛が紫になったれいむは以前に比べ好戦的になり、いつもと違う事が起きるとそれを解決するようになった、ようだ。 それじゃまたね、と紫髪れいむに挨拶をし、私は次の部屋へ向かった。 「あ、おにいさん!ゆっくりしていってくださいね」 ミニチュア鳥居にミニチュア神社、渡り石などを広げたケースから丁寧な声が聞こえてきた。 ここは、もう一匹のれいむを育てていた場所である。 「きょうもかみさまのはなしをきかせてくださいますか?」 「それはもう少し後でいいか? 今は皆の所を順番に回っているんだ」 ここではれいむに対して神様のお話を毎日欠かさずしていた。 これもまた1ヶ月位していたのだが、段々とリボンが小さくなり、れいむのかみのけが緑色になり… そして今では立派な"ゆっくりさなえ"に姿を変えていたのである。 「そうだったのですか」 「ああ、もう少ししたら皆に会わせてあげるよ」 これが元々れいむ種だったと誰が思うだろうか。 礼儀正しくてとても懐いてくれる、躾の行き届いたゆっくりである。 「もし私を悪く言うゆっくりが来たら、さなえはどうする?」 「そのわるいゆっくりをこらしめます!」 うんうん、さなえも私に対する信頼度は高いみたいだ。 野良ゆっくりに対しても紫髪れいむとまではいかないが攻撃を仕掛けるだろう。 「うふふ、おにいさんきょうもきてくれたのね」 魔法陣っぽい絵柄の書いてある地面にゆっくり用の本や何やらを用意したケースから笑い声と共にまりさが迎えてくれた。 「お、まりさ。今日も勉強してるのか?」 「ええ、どすとやらはふしぎなわざがだせるんでしょ?わたしもまけてられないわ」 躾ついでに本を読ませて勉強させてみた所、このまりさは帽子が紫色に、髪が赤色に変わった。 オマケに口調まで変わったときたものだ。 基本、まりさ種がうふふと笑うのは酷い虐待を受けて頭の中がイカレた時にしか言わないと考えていたのだが。 どうやら違う条件でもうふふと言うようになる、それの手段の一つなのかもしれない。 「うふふ、もっと強くなるわよ、うふ、うふ、うふふふふ・・・・・・」 自分の世界に入りながらも勉強する姿を見て、私は次の部屋に向かう。 「わぁっ!!!」 「うわぁ!?」 「ふふふ、おどろいたかい?」 薄暗い部屋のなか、ちょっと廃墟っぽいイメージを施したケースを覗き込んだ途端、後ろからした声にびっくりしてしまった。 元々はまりさ種を飼っていたのだが・・・・・・驚かせて、悔しかったら私を驚かせてみなと挑発したの結果なのだろうか。 "ゆっくりみま"、と言うらしいゆっくりになってしまった(本人がみまと名乗った)。 帽子もとんがり帽子となり、透明ケースをすり抜けられるようにまでなってしまった。うーん。 「今日は油断してしまったな、こいつは一本取られたよ」 「ふふ、でもまだまだおどろかせたりないからねぇ、だんだんといままでのぶんかえさせてもらうよ」 「言ってな、次はそう簡単に驚かないさ」 まぁ、こんな面白いゆっくりが出来るとは思わなかった。 「おにーさん、もっとじゅぎょうしてくれるの?」 綺麗に整頓した本にトランプ兵隊のミニチュア等を置いたケースから優しい声が聞こえてくる。 「ありす、今は授業の時間じゃないからね」 「ざんねん」 「大丈夫、ありすはいつも全力で頑張ってくれるじゃないか」 「えへへ、おにーさんありがと」 まりさは勉強を自主的にさせたのに対し、ありすには自分でみっちりと教え込む形にした。 レイパーになる危険性のある種だけに、細心の注意をしただけ、のはずだったのだが。 カチューシャがいつのまにか青色のリボンに変わり、心なしかサイズも小さめになっている。 すぐそばにはお気に入りの本が1冊あり、いつも持ち運んでいる。 「いざというときにぜんりょくでがんばれるようにならなきゃ」 「きっとありすならなれるさ、保障するよ」 「ありがとおにーさん」 レイパーとは似ても似つかないその姿に、正直ちょっと感動してしまった自分がいる。 いい子に育ってくれるだろうと思いつつ、次の部屋に足を運んだ。 「おお、お兄さんではないか」 畳に掛け軸、いかにも和風な部屋。 どうにかしてぺにすぺにすちーんぽなのを何とか喋らせようと頑張ってみた。 ついでに剣術も面白半分で覚えさせてみた所。 「本当に変わったなぁ」 「なに、昔は若気の至りが過ぎたんじゃよ、しかし殆どの者がああだとは嘆かわしい」 立派な髭を生やし、貫禄も十分。 縁側で一緒にお茶を飲むとすごくゆっくりできそうである。 "ゆっくりようき"だそうだ。 「こうして育ててくれた事には感謝しておる」 「まぁ、飼うと決めたからなぁ」 「あの姿のまま一生を送るなど、今の私には考えられぬ。本当に御主人様にはここまでして頂いた恩義をいつか返さねば」 まぁ、何と言うか。 凄く穏やかでゆっくりしているとはこういうのをいうのだろうか。 しかし私より貫禄あるかもしれないような姿になるとは思いもしなかった・・・・・・ ともあれ。 どうやら私の育てたゆっくりは『進化』したらしい。 もしくは『変異』したのだろうか? しかも野生のゆっくりに対し立ち向かったりする位だ。 ひょっとしたら昨今の被害に対するいい対抗策になるかもしれない。 ここまで立派に育ったんだ、試しにこの6人を顔合わせした後、わざと家の玄関を開けて外出しよう。 帰ってきた時が楽しみだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき ゆっくりがずっとあのままの姿でしかも主にいる面々だけ…とは限らないかなと。 何らかの要因で姿が変わる事くらいあってもいいんじゃないかなと思いました。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり このSSに感想を付ける
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「ゆっくりしずかにはいろうね!!!」 「うん、しずかにはいろうね!!!」 近くにゆっくり達が住む森がある農村。 対策はしているが、やはりゆっくりは進入してくる。 この日も、五・六匹のゆっくり魔理沙が人間の家に侵入しようとしていた。 「ホワッツ! お前達ナニシテルンデスカー!!!」 直ぐに人間に見つかった。 ここで、大抵のゆっくりなら直ぐに人間の癇に障ることを言うのだが、今回のゆっくり達は違った。 「ゆゆ!! おかーーさんがあかちゃんをうんだから、たべものをさがしにきだんですーー!!」 「あがじゃんにえいようづけないとしんじゃうからーー!!」 なるほど。 よくよく見ると、確かにその集団には、小さい赤ん坊はもとより、お母さん魔理沙らしき存在もいない。 このゆっくり達の言うとおり、巣の中ではお母さん霊夢と赤ちゃん達がお腹をすかせて待っているのだろう。 「なるほど。なら、今回だけだぞ。ほら、これ位ならくれてやる」 それならば、と男は幾つかの野菜とお菓子を渡してやった。 「ゆゆ!! おじさんありがとうね!!」 「おじさんはやさしいから、きっとゆっくりできるね!!!」 思い思いの感想を残し、ゆっくり達は男の家を去っていった。 ―― 「ゆゆ!! おかーさん!! きょうはこんなにあつまったよ!!」 「ゆゆ!!! すごいね!! さすがだね!!!」 「すご~い!!」 「いっぱいたべれりゅね!!」 戻った巣の中には、お母さん魔理沙と赤ちゃん達。 それに沢山の食べ物。 野菜や果物から、果てにはお菓子まで。 およそゆっくりには準備できないような代物まで、沢山の食べ物が山積みされていた。 「むっしゃ!! おいし~~ね!!」 「うまくいってるね!!」 「あたりまえだよ!! まりさたちゆっくりは、みんなとってもかわいいんだもの!!」 手当たり次第に食べ物を口に運んでいる一家は、昨日の事を思い出していた。 この森のゆっくり達がドンドン人間に殺されている。 理由は人間の家に入ったり、畑の食べ物を勝手に食べたりしているからだ。 しかし、森の中にゆっくり全員を賄える程の食料はない。 そこで、一家の母親達が集まり、相談していた時に、この森には珍しいゆっくりアリスとパチュリーの夫婦がこう進言したのだ。 「むきゅ!! おかあさんとあかちゃんをいえにおいて、こどもたちだけでにんげんのいえにはいればいいの!!」 沸き起こる反論を抑えながら、パチュリーは大まかに次の事を説明した。 曰く、もし掴まったらお母さんが赤ちゃんを産んだといえば良い。 曰く、そういえば美味しい食べ物をもらえる可能性が高い。 曰く、誰かが巣に残っていればよそ者に巣を取られないで済む。 そして、最後にアリスが言った言葉が引き金となり、森のゆっくり達はこの作戦を行う事に決めたのだ。 「だいじょうぶ!! ありすたちはみんなとってもかわいくてうつくしいから、にんげんたちにはどれもかわいくうつるの!!!」 最後の問題、人間達が同じ顔のゆっくりを見て怪しまないのか、それをこの言葉で封じたアリス。 会議は直ぐに終わり、パチュリーと寄り添って巣に帰っていった。 それが数日前の事だ。 そして、次の日から実践をし、今ではどの巣もこのように大量の食べ物を蓄える事ができた。 「ゆっゆ~~~♪ よかったね!!」 「あしたはみんなでゆっくりしようね!!!」 「「「「ゆっくりしようねーーーー!!!!!」」」」 これだけの食料を何時でも手に入れることが出切る様になった以上、毎日せっせと集める必要はなくなった。 必要な時に集め、必要な時に食べる。 ゆうに一ヶ月程度の蓄えは出来た、当分は大丈夫。 森のゆっくりは、全員そのような考えだった。 一度上手くいったら大丈夫。 もう相談の必要はない。 それがゆっくり達の心情だった。 ―― 「むきゅ? そういえばありす?」 「なぁ~に?」 「ぱちゅりーがこどもをうんだときも、にんげんにもらったの?」 「!! そうだよ!! ありすがはくしんのえんぎでもうじまぜんがらーー!! っていったらたべものをたくさんくれたの!! ありすのえんぎはとってもさいこうだったの!! えんぎは!!」 「むきゅ」 ―― そして、先の霊夢が男の元を過ぎ去った後、人間たちもそのからくりに気付いた。 時間にして数日。 この数日間で、なんか匹ものゆっくりが同じ台詞を話せば、奇妙に感じるのは当然。 あっという間にそのからくりがバレタのだ。 そして、人間はゆっくり達にある方法で復讐する事にした。 ―― 「ゆゆ!! おがーざんがあがじゃんをうんだがらたべものをあづめでだのーー!!!」 数日後、再びあの魔理沙一団が男の下へやってきた。 そうやら、単純で涙もろいオジサンにカテゴライズされたらしい。 口調こそはしっかりしてるが、表情は泣き顔と笑顔の混ざった奇妙な顔を作っていた。 「そうだったのかい。それじゃあこれをもっていきな」 前回同様、大量の食べ物を渡してやる。 しかし、今回は殆どがくず野菜だが。 「そうだ。未だ食べ物がいっぱい有るから、それを置いたらまたおいで」 賑やかに去っていく魔理沙達に、男は大声で伝える。 「ゆゆ!! わかったよ!! ゆっくりいくよ!!!」 それに笑顔で答え、森へ続く道へと消えていった。 「やったね!! こんかいもせいこうだね!!」 「おじさんは、きづいてなかったね!!!」 「まりさたちがかわいいからだね!!」 「「「ゆっくり~~~~♪」」」 沢山の戦利品を運びながらの道中、その魔理沙達は最後の帰路に着いた。 ―― 「またいっぱいもらってくるからね!!!」 「おかあさんもあかちゃんもゆっくりまっててね!!」 「ゆっくりがんばってきてね!!!」 「ゆっきゅりまってるりょ!!!」 一家は最後の挨拶を交わして、交わる事のない岐路に進んでいった。 ―― 「ゆっくり~していってね~~~♪」 「こんどはぁ~なにを~もらえるのかな~~♪」 「「「「おっじさぁ~ん!! まりさたちがきたよ~~~♪」」」」 「やぁ、良く来てくれたね」 「「「「やだなぁ~おじさんは。まりさたちにたべものをくれるんでしょ!!!」」」」 「そうだったね」 そこで待っててね、と言い残して一旦中に消えた。 歌を歌いながら待つこと数分、大きな袋を携えて男が戻ってきた。 「この袋の中に入ってるよ。遠慮しないで沢山持っていってね」 「えんりょなんかしないよ!! ぜんぶまりさたちのだよ!! みんなもっていくよ!!!」 男に適当な返事をしながら、我先に袋の中に入り込んでいく。 全員が入った事を確認し、男は何食わぬ動作で袋を閉じる。 そして歩き出す。 「ゆゆ!! おじさん!! からっぽだよ!!」 「ここからだしてね!! はやくたべものもってきてね!!!」 「ゆっくりさせてあげないよ!!!」 「ダメだよ。お母さん達はもう居ないんだから。それに昨日の分の食事代も貰ってないしね」 淡々と袋越しに話しかけていく。 「だから、加工場に持って行ってお金に換えてもらうんだ」 その言葉を話し終えると、中のゆっくりも理解したようで、大声で騒ぎ始める。 「いやだーーー!! ゆっぐりさぜでーーー!!!」 「ゆぐりじだいよーーー!!」 「どうじでーーー!!!」 帽子が取れようが、髪がボサボサになろうが関係なく暴れまわる。 「だまれ!!」 「ゆびゃ!!」 「あああ!!!!」 必要なのは中身なので外見は関係ないのだ。 中が黙った事を確認すると、そのまま加工場へと足を進めた。 ―― 子供達が出て行って直ぐに、お母さん魔理沙の所に男がやって来た。 「こんにちは」 「ゆ? おにーさんはゆっくりできるひと?」 お母さんと赤ちゃん魔理沙が、大きなクリクリした目で男を見つめてくる。 「ううん。できないひとだよ」 「ゆ?」 「子供達は皆処分したから、最後に君達を処分しに来たんだよ」 言うが早いか、むんずとあかちゃん達を取り出し、物凄い勢いで入り口を塞いでいく男。 「それじゃあ、君はそこでゆっくりしんでね!!」 あっという間に打ち付けた男は、中に居るお母さん魔理沙に呟くと、赤ちゃん達を残してそのままもと来た道を戻っていった。 「あああーーーー!! まりざのこどもたちがーーー!!! どうじでーーー!!!」 「ゆ?」 「ゆ?」 中では、自分の子供達の末路を知った母親の声。 外では、自分達に何が起こったのか理解できていない赤ちゃん達の声。 「あああーーー!! !! ぞうだ!! あがじゃん!! あがじゃんはぞごにいるの!!!」 「ゆ? いりゅよ!!」 「ゆっくりいりゅよ!!」 「おがあさんはここからでられないの!!! ぱちゅりーーをよんできてね!!」 「ゆ!! わかっちゃ~♪」 「ゆっきゅりまってちぇね!!」 これで助かった。 お母さん魔理沙はそう思った。 パチュリーがきてくれればここから出られる。 そうすれば残った赤ちゃん達で子供達の敵が討てる。 そう思うと、気が楽になってきたお母さん魔理沙は、乱雑に積み上げられていた食べ物に駆け寄って咀嚼し始めた。 「う~むっしゃむっしゃ♪」 赤ちゃん霊夢がパチュリーの所から帰ってくるまで数日かかるかもしれない。 でも、こんなに食べ物があるなら大丈夫。 「むっしゃ。これうめぇ!! しあわせ~~~♪」 食べ物の中に埋もれて、お母さん魔理沙は至福の時間を味わっていた。 ―― 「ゆっくりいこーにぇ!!」 「ゆ~~~♪」 「あちゅいね~~」 「ゆ~~!! あそこのきのしたはしゅずしようだよ!!」 「ゆ!! ほんとうだ!!」 「ここをまりしゃたちのお~ちにしようね!!」 「まりしゃたいなにしてちゃんだっけ?」 「しりゃない♪」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 ―― 「むきゅ!! こどもたちおそいねー」 「ゆ!! きっとかわいいありすとぱちゅりーのこどもたちだから、あちこちからひっぱりだこなのよ!!!」 ここはパチュリーとアリスの家。 同じように、子供達に狩りをさせていたのだが帰ってこない。 「こんにちは、ゆっくりしているかい?」 「「!!!」」 代わりに入ってきたのは人間の男。 先ほどの言葉とは裏腹に、当然のように二匹は男を警戒し始める。 「むきゅ!! おじさんなにかよう?」 「ここはぱちゅりーとまりさのおーちだよ!! なにかようなの?」 「そんなに警戒するなよ。おじさんはお菓子を持ってきただけだよ」 「うそだよ!! にんげんはうそをつくんだよ!!」 「むっきゅーーー!!! むぎゅ? ぎゅーーーー!!!」 「そうかい。残念だよ」 パチュリーを勢い良く踏み潰す。 「ああああ!! ぱじゅりーー!! おじざん!! なんでごんなごとするのーー!!!」 「だって、人間を疑るような悪いゆっくりは駆除しないとね」 そう言って、残っている足でアリスも踏みつける。 「ぶじゃ!! あああ!!!」 「ああそうだ、子供達も皆加工場に持って行ったよ。数が多かったから、潰して押し込めて運んでいったけど、さすが饅頭だね!!」 「む……ぎゅーー!!」 「どうじでーー!! ありずのごどもだじ……が!!」 「ああそうだ、最近ゆっくりの子供達に食べ物を物乞いさせる行為が流行ってたけど、それって君たちが考えたの? 正直に答えてね」 喋りやすいように一旦足の力を弱める。 「むじゅ!! ぞうです!! ぱちゅりーたちがかんがえましたーー!!」 「しょうじきにいいましたーー!! だからゆるじでーー!!」 「ご苦労さん。じゃあ死んでね♪」 「なんでーーー!!」 「むっじゅーーーー!!!」 それが、この森に住むお母さん達の最初の断末魔だった。 それから数日後、例の魔理沙の巣の中でも同様の叫び声が被疑機わたっていた。 「ゆーー!! ぐざいーー!!」 最後に男が持たせた中に、生きの悪い魚が入っていた。 沢山の野菜くずで見えなかったのだが、今になって漸くお目見えしたのだ。 奇しくも夏真っ盛りのこの時期、全ての食べ物を巻き込み、オドロオドロしい匂いを撒き散らせながら、魔理沙を餓死へと追いやっていく。 「うぐーーどうじでーー!! なんでーーー!! だべものはどごにいっじゃっだのーー!!!」 これから数日間、この中で空腹に耐えながら、やがて自分もこの中に仲間入りする事だろう。 「あがじゃんーー!! はやぐもどっでぎでーーー!!!!!!」 ―― 人々が、共同で仕返しをした後の事。 その後の生活は今まで通りだった。 既に森には、赤ちゃんゆっくりしかいない。 「ゆっゆ~~♪」 「ゆ!! おやさいがいっぱいあるりょ!!」 「ゆ? はいりゃにゃいよ!!」 「「「「ゆっぐりじだがっだーーーー!!!!!」」」」 先代が残したシステムを覚えているゆっくりなど居るはずもなく、そうで出掛かり駆除され、巣を知られて駆除させ、他のゆっくりに巣を乗っ取られる。 そこの森にでもある光景がそこにも有った。 やがて、赤ちゃん達が育てば、今まで通りのゆっくり一家が沢山できることだろう。 このSSに感想を付ける
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目次 ゆっくり逃走中駅伝とは?? 過去に行われたゆっくり逃走中駅伝第1回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2023第1.5回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2023GW 第2回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2024 第3回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2025 詳細は後日記載します ゆっくり逃走中駅伝とは?? あさぞらが考案、主催したゆっくり逃走中の大企画。 各ゆっくり逃走中投稿者が、往路(1日目)と復路(2日目)に分かれて動画を投稿し、襷を繋いで最終走者(最終投稿者)まで連続して繋いでいくのが醍醐味となる企画。 第一回はあさぞらが運営を単独で行われた。 第二回以降はあさぞらが引退するため、また運営を円滑にするため複数運営体制がとられるようになった。 なお、あさぞらは第二回駅伝終了後に引退を撤回したため第三回以降は再び指揮を取る。 当初、ゆっくり逃走中駅伝が開催されたとき ①普段見に行かないような動画も見に行ってもらうきっかけを作ることで、新しい逃走者や投稿者の知名度を上げさせる ②投稿者同士、視聴者と投稿者同士が一丸となるもの ③プレミア公開の同時接続人数を増やすことでチャット欄を盛り上げる この3つを目的として行われた。 過去に行われたゆっくり逃走中駅伝 第1回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2023 記念すべき第1回大会 18名の投稿者が参加予定だったが,3名が辞退。 ゆっくりライジングが緊急参戦した結果計16名の投稿者が参戦する運びとなった。 ※なお、2024年時点ではもっとも多くのゆっくり逃走中投稿者が参加したイベントとなっており、記録更新が待たれる。 ランディパンパースはこの中で唯一ゆっくり逃走中初投稿であった。 あきなすぎが3区と15区で往路と復路で1区間ずつ 瑞風ケイが11区と17区で復路2区間で出走した。 当初はゆっくりしょうちゃんが5区で出走予定だったが投稿の際に発生したアクシデントで急遽復路の10区で出走となった。 アンカーを務めたさくしゃは当時ゆっくり逃走中史上初となるプレミア公開同時接続数300突破を達成した。 第1回開催時のXの反応 往路 区間 投稿者名 参戦回数 タイトル 動画リンク 1区 虹猫けい 初 逃走中GAME TWO 幕張の新星 Part2 動画 2区 ゆっくりSPECIAL 初 逃走中06 ~ルナティックアイランド~ Part4 【ゆっくり逃走中】 動画 3区 あきなすぎ 初 ゆっくり逃走中02〜欲望渦巻くエリアAK〜 PART2 動画 4区 kakanamiちゃんねるっ! 初 東方逃走中〜少女達の空想物語〜 Part3 動画 6区 きたいや 初 すごくけんぜんできょういくてきなゆっくりとうそうちゅう 動画 7区 Yutamen 初 【ゆっくり逃走中02】 人工島に潜む黒い影 in東京・お台場 Part1 動画 8区 ゆっくり澄元 初 ゆっくり逃走中01 文化祭とハンター part.7 動画 9区 七海 初 逃走中01 ~幻想の街~ Part03 【ゆっくり逃走中】 動画 復路 区間 投稿者名 参戦回数 タイトル 動画リンク 10区 ゆっくりしょうちゃん 初 逃走中01~恐怖と愉快な幻想郷~ 最終回 動画 11区 瑞風ケイ 初 【逃走中特別短編】暗闇にひそむ悪夢のファンタジー 動画 12区 しんごくん 初 王国の逃走劇 Part01 現在非公開 13区 ランディパンパース 初 アメリカ横断シャーロック1853(ゆっくり逃走中) 動画 14区 あきなすぎ 2 ゆっくり逃走中02〜欲望渦巻くエリアAK〜 PART3 動画 15区 野良猫さん NTMT組 初 【チャンネル登録者750~810人突破記念】逃走中~ハンターと天の川の奇跡~ 第2話 動画 16区 KUKスタジオ 初 ゆっくり ✕ 逃走中 -ハンター始動- 前編 動画 17区 瑞風ケイ 2 夕焼けのハンターシティ Part03 現在非公開 18区 ゆっくりライジング 初 【ゆっくり逃走中02】駅に潜む影Part1 動画 19区 さくしゃ 初 ゆっくり逃走中08 ~アルティメット《夢の咲く島》~ PART13 動画 第1.5回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2023GW 詳細はこちら 第2回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2024 あさぞらが完全引退してから行われた第2回大会 運営陣も前回のあさぞら1人態勢から大きく変更となった中で参戦した投稿者は13名。 初参戦組が10名とフレッシュな顔ぶれとなった ホームページが作成されるなど新しい試みもあった 初ゆっくり逃走中投稿者は龍眼 大佐 当初、竜眼大佐は9区出走予定だったが投稿の際に発生したアクシデントで13区に変更となり自由なレインからゆっくりSPECIALまでの4人はそれぞれ1区間繰り上がりとなった。 第2回開催時のXの反応 往路 区間 投稿者名 参戦回数 タイトル 動画リンク 1区 ゆっくりKAI 初 【ゆっくり逃走中】島に現る強欲な14人 Part1~お金欲しさで強欲に行く者たち~ 動画 2区 ティス 初 ゆっくり逃走中05〜消えた子供〜part2 動画 3区 ゆき@YUKISUKE主催者 初 【ゆっくり逃走中03】絶望の公園編 動画 4区 しらのいPresents 初 ゆっくり逃走中05〜逃走成功への分かれ道〜 #8(最終回) 動画 5区 まなと 初 逃走中 ~ゲームマスターの思惑~ #4 【東方逃走中】 動画 6区 りんたろー。 初 ゆっくり逃走中02 潮騒と裏切りの波紋part5 動画 7区 もんもん 初 [ゆっくり逃走中3]〜交差する若葉色の光〜 part1 動画 復路 区間 投稿者名 参戦回数 タイトル 動画リンク 8区 新ゆっくりライジング 2 逃走中〜LASTGAME〜 動画 9区 自由なレイン 初 【ゆっくり逃走中00】〜始まりの15人〜Part2 動画 10区 Xin【ザン】【ゆっくり実況】 初 月から落ちる兎たち Part09 動画 11区 あきなすぎ 3 ゆっくり逃走中04〜真実と欺瞞の絡繰〜 PART2 動画 12区 ゆっくりSPECIAL 2 逃走中07 ~加太淡嶋の神隠し~ Part2 【ゆっくり逃走中】 動画 13区 龍眼 大佐【新人歌い手】 初 ゆっくり逃走中s01 ~ワンダフルシャインα~ 前編 動画 主催 KUKスタジオ Yutamen 補佐 もんもん ティス いのピー 瑞風ケイ 主将 瑞風ケイ 第3回ゆっくり逃走中駅伝 #ゆっくり逃走中駅伝2025 再建を掲げて行われる第3回大会 詳細は後日記載します
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ゆっくりゆうぎ ある日、俺はゆっくりを放し飼いにしている庭で奇妙なゆっくりを見つけた。 「ゆっくりちからくらべしようね!そぉーれゆっくり!ゆっくり!」 そのゆっくりは額に角が生えていた。他のゆっくりを追いかけまわしている。 「ゆゆ!もっとゆっくりしてね!それじゃゆっくりできないよ!」 「なにいってるの!ちからくらべ!ちからくらべしよう!」 逃げ回るれいむに素早い動きで追いつき、激しくすーりすーりしようとする。 すりすりというよりはずりずりという感じだ。 「ゆぶっ!もっと……ゆっくり……」 「れいむはよわいね!ほらもっとゆっくりがんばってね!!」 「もうやめでええええ!!!」 「それそれ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 何この新種。 「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅ!!!」 「はーい、そこまでー」 俺は阿鼻叫喚のるつぼと化した庭へと踏み入った。 新種は今まで絡んでいたれいむを放り出しこちらを振り向く。 「ゆっ!ほねのありそうなにんげんがきたよ!ゆうぎとちからくらべしようね!」 新種は俺の足元へ跳ねてくると、足に対して攻撃してきた。 「ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 「………」 やはり所詮はゆっくり。口で言うほどの力はないのだった。 「ていっ」 足を軽く振っただけで「ゆべふっ!!」と吹き飛ぶ新種。 「なかなかやるね!おもしろくなってきたよ!ゆっくりぃぃぃ!!!」 再度飛び掛ってくる。 「なんつうか……暑苦しい奴だな……」 * * * * 「ゆうぎのなまえはゆうぎだよ!ゆっくりちからくらべするよ!」 さっきからずっとこれだ…庭のゆっくり達はおびえて物陰に隠れてしまっている。 「おにいさん!そいつをゆっくりおいだしてね!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりひとのはなしをきいてね!!」 それはお前らもだけどな。 「まあまあ、そんな事いわずに仲良くしてあげなさいよ」 俺は飛び掛ってきたゆうぎを手で掴むと、物陰で口を尖らせるゆっくりどもの方へ投げる。 「しょうぶ!しょうぶ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 「ゆあああんん!!!」 半刻ほども暴れた後、ようやくゆうぎは沈静化した。 「ゆゆゆゆゆ……」 「どぼちてゆっくりざぜてくれないのぉぉぉ……」 あたりは死屍累々たる有様だ。 「いいしょうぶして、すっきりー!!」 そりゃあお前はそうだろうがね。 「まずは、ゆうぎの鼻っ柱を折ってやることが第一と考えました」 誰に説明してるんだ?俺… ともかく、ゆっくりれみりゃを檻から出し、ゆうぎと対面させてみた。 「うー☆めずらしいゆっくりだどぅ~♪たっべちゃうどぅ~♪」 ぎゃお~☆と威嚇するれみりゃ。しかし、相手の反応はいつもと違うのだった。 「ゆゆ!あいてにとってふそくはないよ!わくわくしてきたよ!! ゆっくりぃぃぃぃ!!!!」 天敵であるはずの、自分より何倍も大きい体付きのれみりゃへ突進するゆうぎ。 「あう~?おちびちゃんのぶんざいでぐれいとなおぜうさまにたてつくなんておろかだっどぅぅ~☆ おもいしらせて……うぁ?」 あ、角が刺さった。 「う゛あ゛~!!いだいどぅ~!!」 「そぉれゆっくり!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 れみりゃはじたばたと逃げ惑う。 「い゛だい゛の゛やぁだどぅぅーー!!」 実際の痛みはそれほどでもないのだろうが、想定外の反攻に恐慌を起こし、 まるでふらんにいじめられている時のように縮こまってしまうれみりゃ。逆にゆうぎの方は気迫充分だ。 「おっきいくせにだらしないよ!もっとゆっくりちからくらべしようね!!」 「や゛へ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛~!!」 勝負はあっけなく決した。 「う゛う゛う゛…」 「ゆうぎのかちだね!!」 「つ゛の゛つ゛の゛こ゛あ゛い゛どぅ゛……」 通常種に続いてれみりゃまでも心的外傷を負ってしまったらしい。 知り合いにはゆふらん持ちもいるが、この調子ではうっかり勝ちかねない。対面させるのはやめておこう。 「うーむ、与えられた特権的地位に安住するだけではいかんということさなぁ…」 憐れを誘うれみりゃの姿を見て、俺は無意味にそう思ったのだった。 それからどうなったのかというと。 「しょうぶ!しょうぶ!」 ゆうぎはそのまま家に定着した。 「やめてね!!ゆっくりできないよ!!」 大抵は一方的に勝負を持ちかけては周囲のゆっくりを困らせているが、 俺が相手をしてやって程よく勝負欲を発散したあとでなら、他のゆっくりとゆっくりすることもある。 俺は今まで隔離していたれみりゃも庭に放つことにした。 ゆうぎは俺に次ぐ実力者としてれみりゃを認識しているため、好んで勝負をもちかける。 そのため他のゆっくりの被害軽減に役立つのだ。 「ゆゆっ!れみりゃだ!!れみりゃしょうぶだよ!!」 「おぜうさまはいないいないだどぅぅぅ~!!」 頭をかかえて丸まり、いないふりをするれみりゃだがそんなことをしても無駄だ。 「ゆっくり!ゆっくり!」 なすすべもなくゆうぎの猛攻にさらされるれみりゃ。 「あ゛う゛ぅ゛~!!!」 「れ゛い゛む゛!!ま゛り゛さ゛ぁ゛!!た゛す゛け゛て゛ほ゛し゛い゛ん゛だどぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 通常種とれみりゃの間には、反ゆうぎ同盟とでも呼ぶべき協調体制が生まれていた。 「れいむのかわりにゆっくりあいてしてあげてね!!」 「まりさよりつよくておおきいれみりゃならだいじょうぶなのぜ!! めいしょうぶをきたいしてるのぜ!!」 この程度のものだが。っていうかまりさ煽ってんじゃねえ。 「そうだどぅ!とんでにげるっどぅ~!!れみりゃあたまいいどぅ~♪」 おお、よく気づいたぞれみりゃ。かれこれ三日も前から気づくのに期待してたんだが。 「ゆゆっ!!にげるとはひきょうだよ!!ゆっくりおりてきてね!!」 しかし心配はいらない。れみりゃを放すにあたり、敷地を覆うように網を張ってある。 いつまでも逃げ続けることはかなわないのだ。 いくらもしないうちに滞空能力の限界を迎えるれみりゃ。 「う゛ぁぁ~!う゛ぁぁ~!つかれたどぅぅぅぅ~!!」 「はやくおりてきてしょうぶしようね!!ゆっくりまってるよ!!」 泣き叫びながら懸命に翼を動かすれみりゃ。ヒャァ!たまんねぇ!これが見たくて三日も仕事休んだ甲斐があったぜ! 「や゛だどぅ!や゛た゛どぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!」 だんだん高度が落ちてくる…あ、落ちた。すかさず突進するゆうぎ。 「もうやだどぅぅぅぅーーー!!!たずげでじゃぐやぁぁ~!!!!!」 「ゆっくりぃぃぃぃぃ!!!!!」 ゆうぎの勝ち鬨が、庭に響いたのだった。 おしまい。 □ ■ □ ■ このお兄さんは虐待にも飽きてしまった”観察”お兄さんです。 あまり自分では手を下さず、勝手に面白行動を取るゆっくりを眺めて楽しむ的な。 俺も庭にゆっくり飼って隠棲したいよ… 読了ありがとうございました。 今までに書いたSSです。よかったらどうぞ 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり このSSに感想を付ける